航空券が年々手頃になり、より多くの人が海外へと旅をするようになってきている。今では世界で1日あたり約10万便の商用フライトが飛び、この数字は今後20年で約2倍になる予想だ。
一方、飛行機による環境負担の大きさを懸念する声もある。飛行機のジェット燃料は、航空事業における最大のCO2排出源であり、スウェーデンでは気候変動を理由に「Flygskam(flight shame)」と呼ばれるボイコット運動も起こっている。飛行機の低炭素化が叫ばれているのだ。
しかし日本から海外に行く場合は、基本的に飛行機を使う他ない。そんな中で、なるべく環境に負担をかけずに旅をする方法はないだろうか。本記事では、あなたの空の旅をもっとエコにする方法をまとめてご紹介していきたい。
エコな空の旅をする工夫
いち消費者がエコな空の旅のためにできることとして、フライト選び・搭乗までの準備・フライト中の過ごし方を改善すること、そしてカーボンオフセットをするという方法がある。
環境負担の少ないフライトを選ぶ
まずはフライトを選ぶことから。エコフレンドリーなフライトの基準は、基本的に経由便ではなく直行便であることだ。NASAのレポートによると、飛行機の燃料の25%は離着陸のときに消費されるという。多少航空券代が高くても、ノンストップの場合、炭素排出量を削減できることも考慮して予約をしよう。また、旧型より新型の航空機の方が、燃費効率が良く環境への負担も少ない。
IDEAS FOR GOODでも以前ご紹介した、プラスチックフリーの飛行を実現したポルトガルのHi Fly航空や、バイオ燃料を使用するカンタス航空などの航空会社にも注目しておくといいだろう。
「Alternativeairlines」と呼ばれるサイトでは、日付や行き先からよりエコフレンドリーなフライトを簡単に検索することができる。
Googleが開発したITAソフトウェアで、航空券の料金を探せる「Matrix」には、カーボン追跡機能もついている。同様のフライトで複数の航空会社を比較し、どちらの方が二酸化炭素排出量が少ないか迅速かつ効率的に調べることができるのだ。
フライトまでの準備
搭乗までの準備をするなかでも、ちょっとした工夫で環境負荷を減らすことができる。たとえば、使い捨てされがちなグッズ(ストローやカトラリー、飲料カップ、布ナプキン、ヘッドホン等)を機内荷物に入れて持ち込むことだ。こちらは旅行先についても再利用可能できるものを選びたい。
そしてその他の機内持ち込み手荷物はできるだけ少ない方が良い。機体を軽くすることで、燃費効率が上がるからだ。
フライト中の過ごし方
できるだけ事前に準備していたグッズを使い、飛行機で提供されるものは使わないようにしよう。
そして窓側のシートに座っているときは、必要なとき以外は日よけシェードを下げておくことで機内の温度を10℃程度低く保つことができる。シェードが上がっていると、窓から太陽光が入って機内を加熱するので、気温を下げるためにより多くのエネルギーを消費するのだ。JALもCSR施策の一環として、地上に駐機中の飛行機では日よけを下げる取り組みを行っている。
カーボンオフセットする
航空会社の環境保全プロジェクトを支援することでできる「カーボンオフセット」も、持続可能な空の旅の一つの選択肢となる。このお金は、炭素排出の削減や他の排出の補償に使われ、実質的にカーボンゼロとすることだ。たとえば、植林、持続可能な旅行方法の研究、飛行機の代替手段の発見といった方法で相殺する。ドイツのルフトハンザ航空では、カーボンオフセットのためのイノベーションハブ「Compensaid」が2019年8月にオープンした。
日本の二大航空会社のカーボンオフセットプログラムを載せておこう。
▶ANA:カーボン・オフセットプログラム
▶JAL:カーボン・オフセットプログラム
エコで気持ちのいい旅ができるように
空の旅をもっとエコにする。上記の中ではすでに実践しているものもあれば、今まで知らなかったというものもあったのではないか。
何気なく使っていた飛行機での移動にかかる負担を知り、少しでも行動できるようになれば、きっと気持ちがいい。快適でエコな空の旅を楽しもう。
【参照サイト】Alternative Airlines
【参照サイト】Lufthansa Innovation Hub launches the “Compensaid” sustainability platform and focuses on CO2 neutral aviation fuels
【参照サイト】Fuel Consumption and Emissions from Airport Taxi Operations