近年、買い物をする際に、ヴィーガンを意識する動きが広まっている。気候変動への影響や動物保護、宗教や健康上の理由などから、動物性の成分が含まれないモノを選ぶ人が増えているのだ。
そんななか、世界最大の証券取引所であるニューヨーク証券取引所では、ヴィーガンと気候変動対策のためのETF(上場投資信託)が誕生する。2019年9月に米国証券取引委員会に登録され、2020年1月から投資受付を開始する。ニューヨーク証券取引所にはすでにESG(環境・社会・ガバナンス)に考慮したファンドが数多く上場しているが、動物保護・クルエルティフリーに特化した投資商品はユニークで世界でも類を見ない。
ETFの正式名称は「US Vegan Climate Exchange Traded ETF」で、銘柄識別コードであるティッカーシンボルは「VEGN」。ヴィーガンをはじめ、より倫理的な投資選択をしたい投資家からの注文が殺到すると専門家は見ている。
今回発表されたETFは、アメリカの大企業のうちヴィーガンや気候変動に配慮した企業のみで構成される。兵器やタバコ等のセクターに加え、動物性食品を取り扱う企業や動物実験を実施している会社の株はすべて除外される。
このヴィーガンファンドを発案したのは、ニュージャージー州にあるBeyond Advisors社だ。最小投資額は一株25米ドル。同社のCEOであるクレア・スミス氏は、このファンドの構造は、一般的なファンドと同じだと述べる。
年間経費率は0.60%、投資額1,000米ドルあたり6米ドルだ。主流のETFに比べると割高なのだが、スミス氏のパートナーのリー・コーツ氏や、ラリー・アベレ氏は、動物や環境の保護に関心のある人々に届いてほしいと思い、この投資信託を設立した。3人ともヴィーガンだという。
世界初となる、ヴィーガンに特化した投資商品。すでにヴィーガンとして生活している個人投資家にとってはまさに待望の商品だと言えるが、ヴィーガンではない人にとっても、投資を通じて動物保護や環境保護に貢献できる選択肢が生まれるのは素晴らしい。上場後の株価の行方にも注目が集まる。
【参照サイト】First vegan investment fund coming to New York Stock Exchange
【参照サイト】World’s first Vegan ETF sets out to target ethically minded investors