アフリカの物流業界では、いかに荷物を手頃な価格で、安全かつ迅速に運べる体制を築くかが課題になっている。いま、ナイジェリアの農家が生産した農作物の約50%が、販売できる状態で卸売業者や買い手に届かない状態だという。このパーセンテージがもっと上がれば、多くの農家がより生産に力を入れようと前向きな気持ちになるのではないだろうか。
アフリカでのこのような輸送の確実性における懸念や、荷物を運ぶトラック運転手の供給が追い付いていないという現状を受け、ナイジェリアのスタートアップ企業は“トラック版Uber”ともいえるオンラインプラットフォーム「Kobo360」を構築した。トラック輸送が必要な企業と、個人で活動するトラック運転手を直接結び付け、仲介者に頼ることなく荷物を運べる体制を整えている。
同社は2017年に設立して以来、ネスレやユニリーバ、DHLといった顧客を獲得し、現在はナイジェリア、トーゴ、ガーナ、ケニアの4か国でサービスを展開している。2019年8月には、ゴールドマン・サックスをリードインベスターとする投資家から3,000万ドル(約32億円)の資金調達を受け、新しく10か国に進出するために資金を充てるという。2019年2月時点で7,500人以上のトラック運転手がプラットフォームに登録している。
Kobo360は、リアルタイムでの荷物追跡が可能なため、安全かつ確実に荷物を運びたい企業にとっては、大変助かるサービスだ。また、トラック運転手にとっても、復路でまた荷物を運ぶことが可能となり、荷物の輸送後に即時でお金を受け取ることができるので経済面でも助けになる。待ち時間や長時間労働が多いといわれるトラック運転手の働き方改革にもなるだろう。さらに、トラックが空の状態で走ることが減れば、燃料の有効活用にもなる。さまざまな面で物流の課題解決を図るサービスだ。
アフリカの物流業界の規模は、1,500億ドル(約16兆円)におよぶという。アジアに次ぐ巨大市場と目されるアフリカで、簡単かつ迅速に輸送手段を手配できる同社のようなサービスは、今後ますます需要が高まるのではないだろうか。
【参照サイト】 Kobo360