私たちは日頃から、必要に迫られたり、衝動にかられたりしてものを買っているが、この購買行動を変えることの影響は大きい。事業者は、顧客が求めるものの提供を目指すからだ。誰でも、環境保全や地元経済への貢献につながる製品を選びつづければ、少しずつ社会を変えていけるのである。
しかし多くの場合、ネックとなるのは「何が良い製品なのか?」という情報の欠如だ。たとえば衣服のタグを見れば生産国や素材はわかるけれど、素材の出どころや、工場の従業員の労働実態を詳しく把握するのは困難である。そんな課題を解決しうる、画期的なスマートタグ「PaperTale」が考案された。
このスマートタグがついた衣服にスマートフォンを近づけることで、専用アプリが材料調達の方法から、製造方法、労働環境、製造者の情報、輸送の方法などものづくりの一連のプロセスを読み取り、音声つきで教えてくれる。消費者は購入した衣服の物語を垣間見ることができるだけでなく、水の使用量やCO2排出量など、製品製造においての環境フットプリントも計算できることがユニークだ。
今回のプロジェクトの立ち上げは、スウェーデンのクリエーター、ビラル・バッティー氏が、ファストファッションの製造現場の労働者搾取や環境汚染などの現状を目の当たりにしてきたことがきっかけとなっている。そのため、従業員の労働時間や、労働条件に関するフィードバックなどもブロックチェーン技術を使用して記録される。これにより、事業者のデータ改ざんを防ぎ、製品の透明性を確保するのだ。
また、消費者はアプリを介して労働者に直接チップを渡したり、労働者やその子供が学校教育を受けられるように寄付したりできる。
現在、PaperTaleはKickstarterでクラウドファンディングを行っている。このスマートタグ付きの洋服がさらに広まれば、ブロックチェーンによりトレーサビリティを確保し、生産者と消費者が直接つながる道を開き、私たちがより良い選択をする手助けとなるだろう。
【参照サイト】Kickstarter – 100% Sustainable Speaking Hoodie with Blockchain Technology