フィンランド国営放送が開発。“荒らし”になりきるゲームで学ぶネットリテラシー

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インターネットが発達したことで情報量は各段に増え、ソーシャルメディアを通して誰しもが情報発信できる時代になった。そこに生じた負の側面といえば、フェイクニュースだ。米国では、真実に対する 「オルタナティブ・ファクト(もう一つの事実)」という言葉が生まれ、現在も11月の米国大統領選を控えて、SNS上では政治広告を制限するか否かで大きな議論が巻き起こっている。

正確な情報が多くの人に幅広く行き渡ることは、民主主義の発展に欠かせない。そのためには、私たち自身にも 「もう一つの事実」、つまり「偽の情報」を見分ける眼力が求められている。そこで開発されたのが、手軽に遊べるオンラインゲーム“Troll Factory”である。

Trollとは俗に「荒らし」、Factoryは「工場」という意味を持つ。情報操作・印象操作をするニュース工場が、世界中に存在しているという皮肉からきたネーミングだ。

このゲームは、ネット荒らしに扮し、その手口を理解することで過激な情報に踊らされないように学ぶデジタルエクスペリエンスだ。プレイヤーであるあなたは、リーダーの指示を受けてフェイクニュースを流したり、特定の人々に対する差別発言をしたりする。投稿が過激であれば過激であるほど、フォロワーやシェアが増加する。ゲームで使われる過激なネタ画像は、実際のSNS上で投稿されたものだ。

Troll Factory

ゲーム終了後には、ソーシャルメディアの使われ方についていくつか解説がある。たとえば、「人々は、自分の価値観と合致している投稿を、その見方に関係なく受け入れやすい」「感情的なコンテンツはシェアされやすいが、批判的精神を妨げる」「フェイクニュースには事実が含まれていることもあるが、その目的は真実を伝えることではない」など。

このゲームについてさらに特筆すべきは、フィンランド国営放送「Yle」がリリースしているという点。テレビやラジオなどの放送で注意喚起するのではなく、ネット荒らしをあえて体験させるという強烈でウィットのあるゲーミフィケーションを、民間のスタートアップ企業ではなく、政府が大半の株式を所有する公社が開発しているのは驚きである。

IDEAS FOR GOODでは、フィンランドがインターネットにアクセスする権利を、世界で初めて法で定めたことも以前に紹介した。インターネットを管理統制する国々ある一方で、フィンランド政府は、制限するのではなく、人々を啓発しネットリテラシーを高めることを重要視していることが伺える。この遊び心には、多くの人が学ぶところがあるだろう。

【参照サイト】Troll Factory
【参照サイト】This game uses troll tactics to teach critical thinking

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