1本のニュース、180の裏付け。ユネスコ特設サイトが伝える「情報ソース」の大切さ

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今、世界では人々を意図的に騙そうとするデマや、大手メディアの情報操作、個人の誤った情報源に基づく発信など、さまざまな情報に関する問題が浮き彫りになっている。

デロイトが2021年に発表したレポートによると、日常的にニュースに触れる人の3人に2人は、ソーシャルメディア上のニュースを信用しないと答えているという。また、44%は伝統的なメディアのニュースを信用しないと答えている(※1)。メディアの新旧を問わず、信頼度の低下が深刻な問題になっている。

今や、誰もがSNSなどで情報の発信・シェアができる時代。不確かな情報に惑わされず、誰かに正確な情報を伝えたいと思うとき、私たちは何を心がければいいのだろうか。

ユネスコは2021年12月、信頼できるニュースの例を示すため、メディアがどこから情報を入手しているか可視化するウェブサイト「#ReadTheSources」を公開した。

サイトで例として取り上げられているのは、カナダのメディア企業であるグローブ・アンド・メールと、フランスの雑誌「Society」の記事だ。

グローブ・アンド・メールの記事のタイトルは、「カナダは、かつてないほどの猛暑に襲われる。備えはできているか?」だ。同社がこの記事を書くために参照した情報源は、約180にも及び、そのすべてのファイルをDropboxで閲覧できる。

すべての情報源を一目で把握したい人は、記事タイトルを中心に放射状に広がるマップを見てみるのもいいだろう。「熱波に襲われるカナダ」「影響を受けやすい、弱い立場にいる人たち」といった名前がついたフォルダーをクリックすると、中から情報源のファイルが飛び出すように現れる。

#ReadTheSourcesのキャンペーン動画を見ると、記事の一行一行が、どれだけ多くの情報源を参照して書かれているかが分かる。たとえば、記事の冒頭で「猛暑により、ブリティッシュコロンビア州で少なくとも569名が死亡」と書かれていれば、死亡者数の部分はもちろんのこと、「猛暑」と書く根拠となる情報源も表示される。

同キャンペーンを通じて、ジャーナリストのプロ意識の高さに触れ、質の高いニュースがどのように作られているかを知ると、自分が情報を発信・シェアするときに、情報源を記載したり確かめたりする習慣が身に付きそうだ。

ユネスコは同キャンペーンで、「It takes thousands of reliable sources to become a single source(信頼できる非常に多くの情報源に当たって、やっとひとつの情報源ができる)」というメッセージを掲げている。「インターネット上で誰もが簡単に情報発信者になれる」と思っている人にとっては、考えを改めさせられるメッセージではないだろうか。

※1 Study shows fake news is a problem | Deloitte Insights
【参照サイト】 #ReadTheSources

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