気候変動に立ち向かうメディアへ。英ガーディアン紙、化石燃料に関わる広告掲載を禁止に

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化石燃料の使用がもたらす環境への被害が叫ばれて久しい。

化石燃料からエネルギーを取り出した際に発生する二酸化炭素は大気にとどまると温室効果をもたらし、地球温暖化の原因となる。また、化石燃料に含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物は大気を汚染し、呼吸器の疾患や酸性雨を引き起こす。

世界の流れとしては、太陽光やバイオエネルギーなどの持続可能な自然エネルギーへの置き換えが推奨されているが、現在も化石燃料の使用は増え続ける一方である。

そんな中、イギリスの大手メディア「ガーディアン(The Guardian)」が紙面、ウェブサイト、アプリ上で化石燃料に関わる広告掲載を禁止することを発表した。企業の炭素排出量を減らし、気候変動についての報道を増やす目的で下された今回の決定は、化石燃料の取り扱いを主としている世界的な大企業も含む全ての企業が対象となる。このような徹底した化石燃料に関する広告の禁止は、主要なメディアとして世界初の試みとなる。

化石燃料

Image via shutterstock

ガーディアン・メディア・グループ(GMG)のCEOであるアナ・ベートソン(Anna Bateson)氏と収益の最高責任者であるハミッシュ・ニクリン(Hamish Nicklin)氏は、地球温暖化について「私たちの時代において最も重要なチャレンジである」と述べており、エネルギー関連会社の活動は明らかに環境を害しているとガーディアン独自のレポートで強調している。

多くの環境活動団体は、エネルギー関連会社について「再エネへの小さな投資に高価な広告費をかけてアピールしながらも、化石燃料から多大なる収入を得ており、これはグリーンウォッシュに当たる」と、長らく主張してきた。

ニュースメディアはエネルギー関連会社の広告掲載を断るよう求められてきたが、これまで実際の採用は一部の小さなメディアのみにとどまっていたため、今回のガーディアンの決断はグリーンピースなどの環境活動団体から大きな称賛を受けている。同社はこれまでにも、2030年までにカーボン・ニュートラルを達成することを宣言し、Scott Trust Endowmentファンドにおいて、化石燃料ダイベストメント(投資引揚げ)をするなどの動きも見せていた。

また、紙面では地球が直面している環境問題の大きさを示すために、「気候変動(climate change)」を「気候非常事態(climate emergency)」に置き換えたり、「地球温暖化(global warming)」の代わりに地球酷暑化「(global heating)」を使ったりするなど、用語の変更も実施している。

ガーディアンの広告収入は全体収入の約40%を締めており、中でも化石燃料関連からの広告費収入は約7,000万円(50万ポンド)にのぼる。今回の決断はガーディアンにとって経済的な打撃となり、報道費用の削減を余儀なくされるかもしれない。しかし、べートン氏とニクリン氏は未来を悲観せず次のように述べている。「短期的な見方をすると、いくつかの広告を断ることで私たちの生活は少しだけ苦しくなるかもしれません。しかしながら、私たちはこの決断により明確な目的を持った組織を作り、経済的な持続可能性を得ることは可能だと信じています。」

また、自社の決意が他の企業に伝播することも期待している。「私たちはより多くのブランドがガーディアンの指針に同意し、最後には私たちを仕事のパートナーとして選んでくれることを望んでいます。広告の未来は、消費者と信頼関係を構築すること、そして実際に行動することにかかっています。」

化石燃料に関する広告を一切受け付けない確固たる姿勢で、気候変動に立ち向かうガーディアン紙。大きなメディアが立ち上がれば、他の企業も続きやすくなるだろう。今後、この決意が大きく広まることを期待したい。

【参照ページ】ダイベストメントとは・意味
【参照ページ】カーボンニュートラルとは・意味
【参照サイト】グリーンウォッシュ(グリーンウォッシング)とは・意味
【参照サイト】Guardian to ban advertising from fossil fuel firms

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