物の大規模輸送に自動車は欠かせない。大規模輸送網とガソリンで動くトラックによって、我々は好きなものを好きな時に購入できる便利な生活を手に入れた。また、自動車輸出は、日本経済の大きなウェイトを占めている。しかし、それらによって排出される温室効果ガスの割合は世界の温室効果ガス排出量全体の約15%を占める。温室効果ガスを削減するために、世界各国の自動車ブランドはハイブリッド車や電動自転車など、様々な車を発明し、それらが道路で走る姿も日常になってきた。しかし、やはりまだまだ改善を急がなければいけないようだ。
イギリスのジョンソン首相は、ゼロエミッションの実現に向け、2035年までにガソリン車、ディーゼル車、そしてハイブリッド車の新車販売を禁止する方針を打ち出した。
イギリスの自動車排気ガスの排出量は非常に多く、国内の温室効果ガス全体のうちおよそ三分の一が輸送に使う車から発生している。従来は、ハイブリッド車は一般的に、ガソリン車にくらべて環境に配慮しているとされていた。しかしながら結局、ハイブリッド車も化石燃料であるガソリンを使用して電気を起こし、その電気で車を動かしているに過ぎない。走行中も排気ガスは排出されてしまうのだ。排気ガスを一切出さない電気自動車に比べれば、エコとは言い難いのが実情である。さらに、ハイブリッド車の存在は近い将来、電気自動車の普及を妨げる一因にもなり得ると言われている。
また、イギリスは2025年までに石炭などの化石燃料の使用率を下げる政策も打ち出している。こうした事情と、2015年に採択されたパリ協定の指針を背景に、イギリス政府は今回の方針を、今年11月にスコットランドで行われるCOP26に先駆けて宣言したのだ。
自動車の販売制限政策を行うと公表しているのはイギリスだけではない。他のヨーロッパ及びパリ協定参加国もまた、ガソリン車やハイブリッド車の販売制限に乗り出している。スペインは2040年には石油燃料を使用した自動車の販売を禁止する予定だ。コスタリカは2021年までに世界で初めて石油燃料を使用しない国になると宣言している。他にもアイルランド、フランス、オランダ、イスラエル、台湾など多くの国々が、2030年代~2040年代にかけて化石燃料を使用した自動車や輸送用車両の販売禁止を行うと発表している。国全体の動きだけではなく、地方都市でも独自に環境対策を行うところが徐々に増加している。
イギリスから始まった産業革命により、人間は化石燃料を効率よく使用する方法を編み出し、応用し、その技術を発展させたことで、ここまで発展した。特に自動車はもはや生活を送るためになくてはならない手段だ。しかしその結果、莫大な量の温室効果ガスが毎年産み出され続け、我々が恩恵を預かっている穏やかな環境を破壊している。化石燃料を使わない方向へ向かうことは、世界と人類の今後にとって大きな好影響を与えるであろう。今後もパリ協定の実現に向けて、弛まぬ努力が国家政策と民間・個人の努力の双方に求められている。