気候変動の要因とされるCO2の排出量削減が急務となる中、地球環境に対して負荷の少ない再生可能エネルギーへの注目が高まっている。太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、日本においても国を挙げて導入が推進されようとしている。
そんな中、オランダに本拠地を置く醸造業者ハイネケンが、エネルギー供給会社イベルドローラとの間で、太陽光発電プラントから電力を購入する長期電力購入契約を締結すると発表した。ハイネケンスペインのすべての醸造所とオフィスの電力が、100%太陽光発電で賄われるようになる。
両社の合意に基づき、新しい太陽光発電所がアンデバロに建設され、 2020年中に本格稼動する予定だ。発電所の年間発電能力は82GWhで、これは年間15,000世帯以上の住宅に電力を供給するのに相当する。これによってCO2排出量が年間10万トン以上削減されるが、これは約25,000世帯が年間に排出するCO2排出量に相当するものであるという。環境に好影響を与えるだけでなく、新しい太陽光発電所の設置は地域社会に推定200人分もの雇用を生み出す。
ハイネケン・スペインのマネージングディレクター、ギヨーム・デュヴェルディアは、「アンデバロの発電所によって、すべての飲料は太陽から直接作られた電気を使って醸造されるようになります。醸造所で必要とされるエネルギーをすべて賄ったのちには、ガスボイラーをバイオマス利用のものに置き換え、2023年までに再生可能エネルギーのみを使用してビールを醸造できるようにします。」と述べた。
スペインにおけるこの新たな取り組みは、ハイネケン インターナショナルのグローバルサステナビリティ戦略 “Brewing a Better World“ の一環である。この戦略の中の1つとして、「Drop the C」という炭素削減プログラムがあり、2030年までに再生可能な熱エネルギーと電力の割合を世界全体で少なくとも70%にまで拡大することを目指している。現在、世界中で29件の再生可能エネルギープロジェクトが進行中で、風力や太陽エネルギー、バイオマス、バイオガスの利用に焦点を当てている。
環境配慮の側面から製品を選ぶ際、何でできているかには気付くことができても、製造過程でどんなエネルギーが使われているかまで思いが及ばないこともあるかもしれない。しかし本来、製造でどんなエネルギーが使われたかということは、巡り巡って私たちの将来に跳ね返ってくる。様々な企業がもっと再生可能エネルギーを活用するになれば、消費者ももっとクリーンな選択ができるようになるだろう。
【参照サイト】HEINEKEN Spain and Iberdrola sign solar deal
【参照サイト】Brewing a Better World
【参照サイト】再生可能エネルギーとは(資源エネルギー庁)