写真を通してジェンダーギャップを改善。ゲッティイメージズ ジャパンの挑戦

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毎年、世界経済フォーラムから発表されるジェンダーギャップ指数(男女格差)。2019年、日本は史上最低の121位に。毎年問題視されてきたが、昨年は残念ながらさらにその記録を更新する結果となってしまった。この問題に「写真」を通して解決していこうと取り組んでいるのがゲッティイメージズ ジャパン(以下ゲッティ)だ。

今年で25周年を迎えるゲッティは、商業目的の映像と写真を一番多く提供している会社で、イメージ写真をはじめ、FIFAワールドカップなどのスポーツイベント写真や報道写真など幅広いジャンルの写真、映像を扱っている。

私たちが日頃、何気なく接している広告やメディアの写真や映像。実はこれらを通してつくられる「イメージ」もジェンダーギャップを生み出す要因の一つとなっている。

その一例がこちら。3月8日、国際女性デーにゲッティは、日本を含む5カ国でベストセラーとなった「働く女性」の写真を公開した。ゲッティイメージズ ヴァイスプレジデント兼 ゲッティイメージズ ジャパン株式会社 代表取締役の島本 久美子さんによると日本は他の国に比べて「オフィスで、脇役的に働いている女性」が選ばれる傾向にあるという。こうした写真がよく使われれば「女性の仕事は『オフィス』でするもので『脇役的なもの』という固定概念が知らず知らずのうちについてしまうかもしれない」と懸念する。

Getty Images

そこでゲッティでは多様な女性のイメージを伝えていこうと、まず、写真を撮る側のジェンダーギャップ改善に取り組んでいる。その大舞台が2020東京オリンピック・パラリンピック。実は2020東京大会はオリンピック史上初めて男女比が50:50になる。IOC (国際オリンピック委員会)・ IPC (国際パラリンピック委員会) の公式フォトエージェンシーであるゲッティは、今回、女性を2割まで増やした撮影体制にするという。2割でも少ないと思われるかもしれないが、もともと女性写真家自体が少なく、これでも画期的な割合だという。

ゲッティでは、2019 年女子サッカーワールドカップ フランス大会でも、フォトグラファーとエディターを含めて11人中7人を女性で構成するなど数年前から撮る側のジェンダー平等に取り組んできた。その結果は、写真の多様性という成果を生み出した。

例えば雄叫びを上げているようなこの写真。ここにはステレオタイプな「女性は大人しい」といったイメージはない。しかし、鬼気迫る写真に思わず引き込まれる。「女性として、ではなく、『プロの選手』として捉えたからこそ生まれた写真」と島本さん。「多様な人が撮った方が多様な写真が生まれるんです」。撮る人が変われば写真も変わるのだ、ということを実感する一枚だ。こうした写真が増えれば女性のイメージも自ずと変わっていくだろう。

Catherine Ivill – FIFA/Getty Images

この他にも、ゲッティでは、肌の色や体型などを加工した写真は使用しない取り組みを行っている。きっかけは、2017年にフランス政府が体型をレタッチ加工した画像には「レタッチあり」という表記を義務付けたことによる。広告で目にするような実際の肌や体型とはかけ離れた画像や映像は、特に若い女性を苦しめ、自分に自信がもてず、ひどい場合には拒食症に陥るといった健康被害まで引き起こす要因になることもある。

2019年3月にはDove、girlgaze との協同プロジェクトとして、女性または性別を固定しない立場をとるノンバイナリー フォトグラファーが撮影した、「リアルな女性」の写真ライブラリ「#ShowUs」を展開している。被写体になっている人たちは、ツヤツヤの肌でもなければ、シミもシワもある、二の腕だってある、「ありのまま」の姿だが、訴えかけてくるような力強さ、にじみでてくるような個性に思わず引き込まれる。それは「本来の輝き」にフォーカスしているからに他ならない。そう思うと、私たちが映像や写真に求めているのは決して、陶器のような肌でもなければ、くびれのあるウエストでもない。その人にしかない「輝き」なのだと気づかせてくれる。

人は情報の8割が視覚からと言われる。それだけに写真や映像が持つ力は大きい。ゲッティの取り組みが、私たちのジェンダーに対する潜在意識を変え、それが行動の変革につながることを多いに期待したい。

*ゲッティイメージズ ヴァイスプレジデント兼 ゲッティイメージズ ジャパン株式会社 代表取締役の島本 久美子さんのコメントは3月2日(月)に開催された「国際女性デー HAPPY WOMAN AWARD 2020 for SDGs 国際女性デーオンラインセミナ ー」より編集。
トップ画像:Maja Hitij/Getty Images

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