気仙沼のメカジキをジーンズに。廃材を循環させる地元ブランド「オイカワデニム」

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宮城県の北東端に位置する気仙沼市。2011年の東日本大震災で、その激しい揺れや津波、火災、地盤沈下に見舞われ、甚大な被害を受けた地として全国で知られるようになった。

震災では多くの人命が失われ、仕事や生活の場を失った事業者もいた。同市のデニムブランド「OIKAWA DENIM(オイカワデニム)」も、製品である約5,000本のジーンズが倉庫もろとも流され、重油にまみれになってしまった。しかし、数カ月後に発見されたジーンズに傷みが見られなかったことから、“奇跡のジーンズ”として復興のシンボルとなり、被災者を勇気づけたという。

そんなオイカワデニムは今、アップサイクルにより再び気仙沼を元気づける取り組みを行っている。漁業が盛んな同地域では、メカジキが地域の特産品となっているのだが、上顎から伸びる特徴的な角(吻 ふん)は、食べられず廃棄処分されていた。そんな丈夫な吻に目をつけ、繊維をデニムに織り込んだ製品「Swordfish Fiber Mixed Denim(メカジキデニム)」を開発したのだ。

オイカワデニム

Image via Oikawa Denim

このデニムは、金属を一切使用せず、ボタンやリベットも天然素材を採用したオリジナルウェアだ。最終的にそのまま土に還る素材でつくられている。気仙沼港を見下ろす眺めの良い場所で製作されており、漁師さんのファンも多いそうだ。実際にデニムを着用する漁師さんの声を採り入れたメカジキ生地の「STUDIO ZERO」もリリースした。

「メカジキ」を表す英語“Swordfish(刀の魚)”が意味するように、あの吻は、まさに刀そのものだ。水中で振りかざして獲物に打撃を与え、サメなどの天敵から身を守るときに役立つ。そんなメカジキの繊維を織り込んだデニムは、「災害からの復興」「地域廃材のアップサイクル」「サムライのような魚」と、強烈なブランドイメージを醸成している。

【参照サイト】Oikawa Denim

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