米ITの巨人グーグル社が、2030年までに自社のオフィスや世界中のデータセンターでつかうエネルギーの100%「カーボンフリー」化を目指すと新たに発表した。カーボンフリーとは、事業を行う上でカーボン(炭素)を排出しないクリーンなエネルギーを使うことを意味する。
グーグルはこれまでも「カーボンニュートラル(排出する炭素と吸収する炭素を同量にすること)」に積極的に取り組んできており、2017年からはすべてのオフィスとデータセンターの電力を100%再生可能エネルギーに置き換えてきた。今回の取り組みは、これまで課題とされていた「24時間安定して電力供給すること」をテクノロジーの力で解決し、さらに一歩先を行くものとなっている。
9月14日に公式ブログに投稿された記事によると、今後は風力と太陽光の電源をペアにして、バッテリーストレージの使用を増やすことでますます再生可能エネルギーの普及を行うという。また、AI(人工知能)を活用して電力需要の予測も最適化することで、ムダを省いた効率的な供給を目指す。これらの取り組みにより、2025年までに12,000人の雇用創出が期待されている。
また、グーグルはこれまで世界のオフィスやデータセンターで排出してきたすべての炭素を相殺するカーボンクレジットを購入し、同社の「カーボンレガシー(カーボンニュートラルになる前までのすべての炭素排出量)」を排除したことも発表した。これは世界中でも類を見ない取り組みであり、グーグルのカーボンフットプリントが実質ゼロになったことを意味する。
グーグルCEOのスンダー・ピチャイ氏は、「新たなテクノロジーを活用し、適切なインフラに投資し、パートナーや非営利団体、人々を応援すること。今後10年は、世界の気候変動対策にとって最も決定的な年になると考えています。私たちは自分たちの役割を果たし、世界中のすべての人の“炭素のない未来”に近づく手助けができることを誇りに思います。」と公式ブログで語る。
今後、グーグルはパートナー企業・団体のCO2使用量の削減の支援もますます積極的に行うという。たとえば、商業施設や病院、空港などの冷暖房の効率的な利用のために、DeepMindとGoogle Cloudなどのツールを導入したり、欧州で1,000万ユーロを賞金とした持続可能な取り組みのためのGoogle.orgインパクトチャレンジを開催したりしている。
同社の目標は、2022年までに10億人の人々がより持続可能な選択を行うための製品を提供すること。カーボンニュートラルを超える「カーボンフリー」の概念の広がりに期待したい。
【参照サイト】Our third decade of climate action: Realizing a carbon-free future
【参照サイト】ホワイトペーパー 24/7 by 2030: Realizing a Carbon-free Future