東京に本拠を置く蒸留ベンチャーのエシカル・スピリッツ株式会社はこのほど、東京蔵前に世界初の再生型の蒸留所「東京リバーサイド蒸溜所」を設立することを発表した。廃棄素材を蒸留して蘇らせることで循環型経済の実現を目指し、Makuakeにてクラウドファンディングを開始した。
蒸留所設立の経緯は以下のとおりだ。酒を精製すると、酒粕が発生する。しかし、酒粕は精製酒の30~40%を占め、年間約4万トンが産出されているが、その多くは産業廃棄物として処理されている。そこで、同社はこの大量廃棄されている酒粕をジンのベーススピリッツとして100%使用することを考えた。このジンは一般的な原料であるグレーンスピリッツを用いたジンに比べて、より独特な香りと味わいを持つ。
同社はこれまでに酒粕をベースにしたジン2種類、余剰ビールを元にしたジン1種類を製造してきた。そして2020年9月4日からは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で余剰となった約8万杯分のビールを蒸留して特製ジン「REVIVE」として蘇らせ、数量限定で発売している。これまでのラインナップは大変好評で、より多くの人にジンを味わってもらおうと、今回の蒸留所の開設に至った。
エシカル・スピリッツ株式会社資料より
世界初となる再生型蒸留所では今後、多くの日本酒製造蔵やビール製造蔵とともに、さまざまな未活用原料を用いて蒸留酒を生産していく。将来はジンだけでなくウイスキーの蒸留も計画しており、エシカルを軸として、スピリッツ市場で世界のリーディング・カンパニーとなることを目指す。また、利益の一部で耕作放棄地を開墾した新米を酒蔵に送り、酒蔵がその新米で酒を醸し、再度残った粕で蒸留酒を作る、という循環型のサイクルを実現していく。
台東区蔵前に建設される地上5階建ての醸造所には、蒸留所をはじめ、バーやシェアキッチン、オフィスが入居予定で、屋上にはバーベキューもできるカフェと庭園の設置が計画されている。現在行っているクラウドファンディングでは、蒸溜所ファーストバッチジン、ジン飲み比べセット、エシカル・スピリッツ・メイトとしてサロンコミュニティへの招待、オリジナル・クラフトジンオーナーコースなど、さまざまなリターンが用意されている。
同社の共同創業者は山本祐也氏、魚住りえ氏、山口歩夢氏、小野力氏、加藤咲氏で、メディアや日本酒分野、エンターテインメント、デザインなど様々な分野でトッププレイヤーとして活躍してきた個性豊かなメンバーが揃っている。
東京に誕生する、廃棄予定だった素材を蘇らせてジンをつくる世界初の再生型蒸留所。バーやレストランも備えた充実の設備で、ジンを楽しみながら循環型の取り組みを実感できそうだ。
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【参照サイト】東京蔵前に世界初の再生型蒸留所!酒粕や余剰ビールをリユースしたジン造りに挑戦
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Circular Economy Hub」からの転載記事となります。