新型コロナウイルス感染症の拡大により、ますますステイホームが求められる昨今。音楽や絵画など、アートに直接触れる機会が少なくなった方も多いのではないだろうか。
神奈川県・茅ヶ崎市美術館が、3月28日まで(※1)の期間限定プログラム「ネットで楽しむ・つくる・アート体験」をウェブサイト上で公開した。美術館では、人が集まって行うワークショップなどの教育普及プログラムの開催が厳しい状況にあり、自宅にいながらも子供たちにアートを楽しんで欲しいと考えたのだ。
作品は「クリックでよむアニメ絵本」「クリックでつくる絵画」「クリックで奏でるオルゴール」の三つ。いずれも、PCがあれば見ることができ、見る人も作品をつくるプロセスに参加しながら楽しむことができるのが特徴だ。それぞれの作品について簡単にご紹介しよう。
クリックでよむ絵本
まず一つ目はアニメーション作家、若見ありささんによる「クリックでよむ絵本」。お母さんのお腹の中で子供が育つ様子がほのぼのとしたタッチで描かれたウェブ絵本である。赤ちゃんがお母さんのお腹の中で成長する様子が1か月ごとに描かれており、クリックするとひと月ごとに進んでいく。
赤ちゃんの大きさが、いちごや梨、メロンといった果物に喩えて描かれているので大きさも想像しやすい。「人ってこうやって誕生するんだなあ」と純粋な気持ちになれる。命の大切さを感じる今、いろんな人と一緒に観たくなる作品だ。
クリックでつくる絵画
二つ目はクリエイティブコーダーの高尾俊介さんによる「クリックでつくる絵画」。高度なプログラミングによる作品だが、特に知識がなくても感覚で楽しめる。マウスを動かすと、描かれたサーファーの動きと共に波が高くなったり穏やかになったりと変化する様子が楽しめる。
プログラミングのコードも示されているので、解説をみながら書き換えることもできる。学校でプログラミングを習っているお子さんと一緒に楽しんでみてはどうだろうか。
クリックで奏でるオルゴール
三つ目はアートユニットMATHRAX・エンジニア、久世祥三さんによる「クリックで奏でるオルゴール」。ページを開くと何やらマトリックスが並んでいる。それぞれのマスをクリックしていくと、音が現れ、さらにクリックしていくうちに、なんとオリジナルのオルゴール音楽ができてしまう。
音楽のスピードや音階、音色など簡単な編集もでき、適当にさわっているだけで曲調が変わるのはなんとも面白い。さらにできた音楽をツイッターとフェイスブックでシェアすることもできる。「こんな曲をつくってみました!」と友達とシェアするのも楽しそうだ。
以前、IDEAS FOR GOODで同美術館のインクルーシブアートの取り組みを紹介した際、「美術館はもともと『価値観を変える』というミッションを持っている」と学芸員の藤川悠さんは語っていた。今回の取り組みは、「対面でなければアートは難しい」そんな固定概念にチャレンジしているようだ。
オンラインアートの可能性が広がっていくのかどうか。それはおそらくアートを楽しむ私たち次第。サイトを訪れ、その可能性を探ってみてはどうだろうか。
※1 2月19日追記:2月28日から緊急事態宣言を受け延長
【参照サイト】ネットで楽しむ・つくる・アート体験
Edited by Kimika