アルファベット株式会社のユニットであるGoogleが、Googleマップのサービスの中で、CO2排出量が少ないルートの表示を可能にすると発表した。CO2排出量は、渋滞状況や道路の傾斜などの要因を考慮して算出されるという。2021年後半からアメリカで開始され、その後も気候変動対策として各国で展開される予定だ。
サービスの特徴は、同じくらいの時間がかかる経路が複数考えられる際に、ユーザーがそのオプションを選んでいなかったとしても、「エコフレンドリー」なルートがデフォルトで表示されること。また、所要時間が格段に短い経路があったとしても、それぞれの経路のCO2排出量の推計を並べて表示し、ユーザーに経路を選択させる仕組みにするとGoogleは発表している。
今回のアップデートを担当したRussell Dicker氏によると、「Googleマップ中の経路の半分に関しては、ほとんど時間のロスがない、エコフレンドリーな代替の経路を表示することができる」そうだ。またGoogleは、アメリカ政府のNational Renewable Energy Labの知見と、自社のストリートビュー車を走らせて獲得したデータに基づいて、今後様々な車種と道路の種類による、より厳密なCO2排出量を計測していくという。
この施策全体によって削減できるCO2排出量は発表されておらず、具体的な効果についてはまだ不明瞭な部分も多い。しかしカリフォルニア州立大学ロングビーチ校の研究によると、アプリのユーザーは「エコフレンドリーな経路を含む選択肢の中から、自らがどの経路を通るかを考える」プロセスを踏むことによって、よりCO2排出量について敏感に考えるようになることが示唆されている。
私たちはしばしば無意識のうちに「最速で目的地に到着できる経路」を選んできた。思い返してみると、急いでいるときはもちろん、決して急いでいないときにも、そうしていたことはなかっただろうか。しかし本来は、Googleが提案するような「環境負荷の少ない経路」や「景色の良い経路」、「歩くのが快適な緑の多い経路」など、状況によって様々な選択肢があって良いはずだ。「早く到着する」ことがカーナビや地図アプリによって癖づけられたように、今度は「環境負荷を考える」癖が多くの人に自然と根付くことを期待したい。
【参照サイト】Google Maps to start directing drivers to ‘eco-friendly’ routes
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