車ナシ生活をおもちゃで表現。スウェーデン公共交通機関の無料パス提供キャンペーン

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世界中で深刻な問題となっている気候変動。その主な原因となるCO2の排出量を減らす取り組みが、各地で行われている。国土交通省によると、日本では自動車が排出するCO2の量は国全体のおよそ15%(2017年)に相当するといい、マイカーの利用を控える「ノーカーデー」などの取り組みも自治体単位で行われている。

日本同様、スウェーデンの西部でも毎日20万人が車を使うことで、CO2排出と交通渋滞が問題となっている。そこで地元の公共交通機関Västtrafik(ヴェストトラフィック)が、2週間限定でバス・電車・フェリーなどを利用できるフリーパスを地域に住む3万人に提供するキャンペーンを始めた。

Västtrafikは、2020年までに1キロあたりの温室効果ガスの排出を80%削減することを目標とし、2010年から今まで30近くの交通キャンペーンを行ってきた。年に1~2回のフリーパスの配布と共に、車の所有率が高い地域の家に手紙を送ったり、看板やバスに広告を出したりとさまざまな施策を講じている。結果として、今まで50万人近くが交通フリーパスを使ってきた。

「30,000 cars」と呼ばれる今回のキャンペーンでは、3万台のおもちゃの車を並べることで、交通環境の現状と、フリーパスを使って車の代わりに公共バスを利用した時のインパクトを視覚的に伝えるインスタレーションがつくられた。

車のおもちゃのインスタレーション

Image via Forsman & Bodenfors

車のおもちゃのインスタレーション

Image via Forsman & Bodenfors

2週間のフリーパス有効期間中に、おもちゃの車と同じ台数の自動車を利用していた人がバスで移動すると、約2,500トンのCO2が節約され、この地域からサッカー場60個分の車がなくなるという報告がされている。多くのおもちゃの車が並ぶインスタレーションは壮観で、このキャンペーンの与える影響に驚かされる。

スウェーデンは、CO2排出を減らすために、飛行機の利用を控えている環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏が生まれた国だ。フライトシェイム(乗り恥)運動があるように、そして多くの人が車の代わりにフリーパスを利用するように、環境のために行動することに意欲的である。

VästtrafikのプロジェクトマネージャーであるJoakim Gustafssonは「人々の行動パターンを変えることが、私たちの課題です」と述べている。このフリーパスは、市民の環境意識を後押しし、実際の行動まで変えるきっかけになるだろう。

自家用車の代わりに交通機関を充実させる取り組みは、他の都市でも行われている。ルクセンブルクやエストニアではすべての公共交通機関を無料にし、ドイツでも検討がされている。世界中の都市や地域で、市民にとっても嬉しいこのような取り組みが進んでいくことを期待したい。

【参照サイト】Västtrafik
【参照サイト】30,000 cars
【参照サイト】国土交通省 – 運輸部門における二酸化炭素排出量
(※画像提供:Forsman & Bodenfors

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