英企業・Nutrapharmaが、廃棄食品からできたプロテインパウダーを開発

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食品廃棄物の問題は、今や世界中の先進国で大きな問題になっている。農林水産省の発表によれば、平成30年度の国内の食品ロスの量はおよそ600万トンにのぼる。日本人一人当たりに換算すると、年間で約47kgの食品が捨てられている計算だ。

そうした深刻な食品廃棄物の問題を逆手にとって、人々の健康を手助けする栄養食品を製造する会社が、イギリスのNutrapharmaだ。

プロテインパウダー

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Nutrapharmaは、廃棄物になる運命の野菜や果物から、タンパク質が豊富な新たなサプリメントのためのプロテインパウダーを作り出す研究開発を行っている。パウダーに使用する食品廃棄物は、協働しているスコットランドの農家の余剰生産品だ。同社の植物性食品廃棄物を使ったプロテインパウダーの試験品には、従来のホエイプロテインパウダーよりも多くタンパク質が含まれているものもある。

さらに、このプロテインパウダーには、一般的なプロテインパウダーのほとんどに添加されている人工甘味料や香料などが含まれていない。これまで存在した製品以上に人体の健康へ配慮している点も魅力だ。

この製品が生まれた背景には、ヨーロッパの深刻な食品廃棄物問題がある。EU委員会の共同研究センターが2018年に発表したレポートによれば、EU内の農家は年間9億5600万トンの食品を生産しているが、そのうち54%しか食用に使われていないと報告されている。

また、環境問題に関するアプローチやリサイクル意識の一般化など、エシカルなライフスタイルが根付きつつある現在、野菜中心の食生活を取り入れている人口は世界的に増加傾向にある。そうした人々は自身の健康を保つことにも意識が高いと言われる。とりわけ、新型コロナウイルスによって健康がさらに重要視される昨今、サプリメント業界でも植物性タンパク質食品の需要は年々高まりつつある。同社の開発を後押ししたのは、そうした背景もあるだろう。

現在開発中のこの製品は、栄養補助食品市場に大きな影響を与えると同時に、世界的に問題となっている食品廃棄物問題の解決策のひとつにもなると、Nutrapharmaは考えている。

サプリを飲む人

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同様の取り組みは世界中で見られる。アメリカでも、廃棄される予定だった食品から美味しいアイスクリームを作り、販売しているお店が存在する。日本国内では、形が悪く出荷不適当とされた食品を需要が高まっているカット野菜にして出荷する工夫もある。こうした動きが全ての食品ロス問題を解決するわけではないが、社会に気づきを与える一助になることは間違いない。見た目に惑わされず、中身の美味しさに注目して、日々食べる物を選んでいきたいものだ。

【参考サイト】The New Food Waste Solution: Protein Powder Made From Scraps
【参考サイト】Nutrapharma

Edited by Megumi Ito

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