製品寿命延長へ。パタゴニアが企業ロゴ入れサービスを終了

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企業や団体向けに、加工を施したユニフォームを提供するアパレルブランドがあることはご存じだろうか。ブランドの商品であるポロシャツやジャケットに、企業ロゴをプリントしたり刺繍加工したりできるサービスがある。

こうして作られたロゴ入りのユニフォームは、チームとしての統一感を出せるうえ、取引先から見てわかりやすいというメリットはあるが、「転職したら使い道がなくなり、プライベートでも着れない」「他の人にあげにくい」といったデメリットも発生するのではないだろうか。その結果、まだまだ生地はしっかりしている服がクローゼットの奥に押し込まれたままになったり、捨てられたりするのはもったいない。

米アウトドア用品大手のパタゴニアは2021年4月中旬、このような懸念を踏まえ、自社製品に企業や団体などのロゴを入れるサービスをやめると発表した。同社によると、服の寿命を9か月間延ばせば炭素排出、水の使用、廃棄物のフットプリントを20〜30%削減でき、2年間延ばせば全体のフットプリントを82%も減らせるという。ロゴを入れるサービスをやめることで、同社の製品をより長く使ってもらい、環境に与える悪影響を最小限に抑えたいという考えだ。

パタゴニアは「故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をミッションに掲げる企業であり、2025年までにサプライチェーンを含む事業全体でカーボンニュートラルになること、自社製品には再生可能素材あるいはリサイクル素材のみを使用することを目標にしている。2013年以降、製品の修理やリユースなどを行う「Worn Wear」プログラムも実施しており、自社製品を長持ちさせることに積極的に取り組んできた。今回のユニフォームに関する決断も、私たちが住みやすい地球を守るという広い視野に立ったうえでのことだろう。

この決定により、売上を一部失うリスクを受け入れたパタゴニア。同社の環境保護への取り組みは広く知られているため、その理念に共感して、ユニフォームを作ってもらいたいと考える企業は多いかもしれない。しかし、ユニフォームそのものは環境に配慮して作られていても、それを着る人が「長く使いたい」と思えなければ、真にサステナブルな服とは言えないのではないだろうか。服に印をつけることのメリットとデメリットについて、今一度考えてみたい。

【参照サイト】 Group Sales & Logos – Patagonia

Edited by Erika Tomiyama

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