アメリカ・カリフォルニア州が、州内すべての公立学校で生理用品を生徒へ無料配布することを発表した。2021年10月8日、同州のニューソム知事が署名した新法「月経の公平性を確保する法案(AB367)」に基づき、2022年度から学校のトイレでナプキンやタンポンなどの無料提供が始まる。
これまで定められていた法律では、6年生から12年生(日本でいう小学6年生から高校3年生)までの学年を対象に、州内の50%の学校のトイレに生理用品を設置することが義務付けられていた。今回はさらに目標を引き上げ、大学を含むすべての公立学校の女性用トイレ、オールジェンダートイレ、そして少なくとも学校内の一つの男性用トイレにて無料で生理用品を設置することとなった。
「生理用品へのアクセスは基本的人権であり、すべての人の健康、尊厳、および公的生活への参加を確保するために欠かせないものです」公式声明ではそう述べられている。
またカリフォルニア州は、「月経に対する不十分なケア」は、感染症などの問題があることはもちろん、精神状態にも支障をきたすとも主張している。特に生理用品へのアクセスが難しい低所得者層ではその傾向が顕著だ。同州が公式声明で発表した調査によると、何らかの理由で月経用品を利用する環境にない生徒は欠席率が高く、授業に集中して取り組むことができないという。これが成人期に至るまでの疎外感や、不利な結果(格差)にも影響することとなる。
この法律の制定により、出席率の向上も期待されているのだ。実際、ニューヨーク市が学生に無料の月経用品を提供する法律を可決した後、参加している学校では出席者が2.4%増加したという。
同州は、年間2,000万ドル(22億円相当)以上の負担を強いていた生理用品への課税をすでに廃止した。所変わってスコットランドでは、すべての人への生理用品無償提供に向けて法改正が進んでいる。私たちの体、生活、そして社会において生理がもたらす影響の重さを鑑みた動きだ。
誰もが使う学校のトイレに、生理用品が当たり前に備え付けられている。そんな社会がきっといい。コントロールできない体の悩みに対し、また一つ革新的な取り組みが生まれた。
【参照サイト】AB-367 Menstrual products.