約100種類のバイオ素材でできた、オランダの家

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世界では今、化石資源から生物資源(バイオマス)に転換し、持続可能な経済社会を構築しようとする動きが強まっている。化石資源への依存を減らすことで、気候変動緩和や海洋プラスチックごみの削減などに貢献できると期待されているのだ。内閣府の「バイオ戦略2020」では、2018年時点で23.1兆円だった「高機能バイオ素材・バイオプラスチック・バイオ生産システム」の市場規模を、2030年に41.4兆円にまで拡大させることが、目標として掲げられている。

そんな注目を集めるバイオ素材だが、具体的にどのような素材があるのか、意外と知らない人が多いのではないだろうか。そこで、ぜひチェックしていただきたいのが、2021年10月にオランダで開催された、北欧最大のデザインイベント「Dutch Design Week」に登場した、“ほぼ100%バイオ素材でできた家”だ。なんと、この家でバイオ素材でないのは、金属製ネジ止めと窓ガラスだけだという。

この家に使われたバイオ素材は、約100種類。その一覧と詳細は、すべてウェブサイトで公開されている。たとえば、繊維廃棄物とキノコ(菌糸)からできた建築材料、藁や収穫残さなどからできたパネル、ファインセラミックス産業から排出される廃棄物でできたタイル、粘土と砂でできた壁、下水処理水中のセルロースを使った3Dプリンター用の素材など、創意工夫に満ちたバイオ素材が紹介されている。今まで知らなかった、サステナブル素材を発見できそうだ。

この家は、互換性の高い部品を組み合わせて設計されており、そのほとんどを工場で生産している。また、標準的なグリッド(格子)に沿って家を設計しているため、他の家をつくる際に参考にしやすいという。少ないエネルギー使用量で、スピーディーにつくれるとの理由から、3Dプリンターの活用にも積極的だ。

バイオ素材で家ができるという可能性が見えてきたことは喜ばしい。一般的にバイオ素材の事業化には、スケールアップさせるための設備投資などが困難という課題があるため、スケーラビリティの確保を目指す、同社の取り組みに注目したい。

Image via THE EXPLODED VIEW BEYOND BUILDING
【参照サイト】 The Exploded View Beyond Building – Biobased Creations

Edited by Erika Tomiyama

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