イスラエル政府の「清掃テック」ごみがデジタル通貨に変わるアプリが登場

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「どうしたら、ごみ拾いを楽しいものにできるだろう」と考える人は多い。イスラエル政府もそのひとつだ。政府によると、イスラエルの1人1日当たりのごみ排出量は1.7キログラムだという。また、2018年のごみのリサイクル率は24%で、2030年には51%にするという目標を掲げている。(※1)

このように国としてごみ対策に力を入れるなか、イスラエル政府が2021年11月にローンチしたのが、街のごみ拾いをしたユーザーがデジタルコインをもらえるアプリ「CleanCoin」だ。ユーザーは、ひとつのごみ袋をいっぱいにするごとに10枚のデジタルコインを獲得し、そのコインを現金化したり、様々な商品の割引クーポンに変えたり、寄付したりすることができる。

CleanCoinには、どこにごみが落ちているかを具体的に教えてくれる機能も付いている。たとえば、あるユーザーが道にたくさんのごみが落ちているのを見つけ、それを拾う時間がない場合は、アプリの地図にその場所を登録するだけでいい。すると、その登録された情報を見た他のユーザーが、時間のあるときにごみを拾いに行けるという仕組みだ。

ごみを拾ったユーザーは、決められたごみ捨て場にごみを持っていき、作業終了となる。その後、ごみ拾いが終わったことを報告するための自撮りを送ると、アプリがそれを認証し、ユーザーにデジタルコインを付与する。デジタルコインはごみを見つけたユーザーにも付与されるため、皆で協力して街のごみ拾いをしようとするインセンティブが働きやすい。

このアプリは、ユーザーが楽しみながらごみ拾いができるように、ゲーミフィケーションを活用している事例と言える。ごみが落ちている場所を探しながら街を歩くと、まるでトレジャーハントゲームをしているかのような感覚になるうえ、自分が他のユーザーと比べてどれだけごみを拾っているか確認することもできるという。ごみ拾いを通して達成感を得たり、「もうちょっと頑張ってみよう」とやる気が出たりしそうだ。

CleanCoinは、ごみ拾いイベントのように一度に大勢の人を集めて街をきれいにするという種類のものではないが、それぞれの人が、日々のすきま時間にごみ拾いをすることを促すソリューションだ。ごみ拾いをきっかけに、身近な自然に触れる機会が増えるといい。

※1 Waste Facts and Figures | Ministry of Environmental Protection

【参照サイト】 CleanCoin

Edited by Erika Tomiyama

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