インターネットやパソコンなどの情報通信技術を利用できる人と、利用できない人との間に生じる、デジタルデバイド。ユニセフと国際電気通信連合(ITU)の2020年の報告書によると、世界では学齢期に当たる3~17歳の子どもの3分の2(13億人)が、自宅でインターネットに接続できないという。また、15~24歳の若者の間でも、自宅でインターネットを利用できない人が7億5,900万人いる。(※1)
こういったデジタルデバイドは、デジタル化が進んだ現代において、教育的、経済的、社会的な格差を生む一因になっている。新型コロナウイルス感染症の影響による休校で教育が受けられなくなったり、デジタルスキルの低さがデジタル社会に参加する際の障壁になったりする。高価なデジタル機器を持てない人も多くいるなか、デジタルデバイドを解消していくには、どうすればいいだろうか。
西アフリカ・ベナンにあるファブラボ(実験工房)の「BloLab」は、子どもや若者がパソコンに慣れ親しみ、デジタルスキルを身に付けるきっかけになってほしいという想いから、パソコンを自作する方法を無料で教えるワークショップを開催している。ワークショップの参加者は、パソコンを作るために必要な灯油缶やパーツを、自分で調達する仕組みだ。灯油缶は、パソコン本体のケースとして使われる。
パーツを自分で用意する必要はあるが、それでもパソコンを買うより安くできるのが、ワークショップの魅力だ。参加者によると、パソコンを買うには30~35万CFAフラン(約6~7万円)かかるが、ワークショップを活用すると10~15万CFAフラン(約2~3万円)ほどでパソコンができたという。
BloLabの創設者によると、ワークショップの目的はパソコンを安く手に入れることだけではなく、様々な困難や制約がある中で、創意工夫して課題を解決する力を身に付けてもらうことだという。こういった取り組みを通して、ものを捨てずに再利用したり、修理したりする習慣が身に付くことも期待できる。
BloLabでは、過去4年間で数百人もの参加者がパソコンを自作したという。また、この他にプログラミング言語「スクラッチ」の使い方を教えたり、3Dプリンターを使ったりすることもあるそうだ。ものづくりを通して子どもの創造力を育み、様々な情報にアクセスできる環境をつくる取り組みが、今後も広がっていくといい。
※1 教育危機 自宅でネット使えない子ども、13億人 デジタル格差が引き起こす教育格差
【参照サイト】 Blolab – Laboratoire de fabrication numérique
Edited by Erika Tomiyama