空いた時間で、誰かを助ける「目」になれる。視覚障害者とボランティアをつなぐアプリ

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街で困っている視覚障害者と出会ったとき、「何か力になりたいな」と思ったことはないだろうか。世界保健機関(WHO)によると、2010年時点で世界に2億8,500万人の視覚障害者がおり、そのうち3,900万人が全盲だと推定されている。また、視覚障害者の90%は低中所得国に暮らしており、国境を越えた助け合いが必要とされている。(※1)

2015年にデンマークで始まった無料アプリ「Be My Eyes」は、「商品のパッケージに何が書かれているか知りたい」「穴のあいた服を縫うときに、どの糸が青いか知りたい」など、視覚障害者が日常で遭遇する小さな困りごとを解決するために、視覚障害者と世界中にいるボランティアを繋げている。ボランティアはビデオ通話を通じて、視覚障害者の目の前の状況を把握し、彼らが必要とする情報を伝える役割を担う。

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Image via Be My Eyes

Be My Eyesの強みは、アプリに登録しているボランティア数の多さだ。2021年12月時点で、世界150か国以上から約540万人のボランティアが参加しており、180以上の言語をサポートできる状態だ。登録している視覚障害者数は約36万人なので人手に余裕があり、ボランティアと繋がるまでの平均的な待ち時間は、英語の場合は15秒、他の多くの言語では30秒ほどだという。

「Be My Eyes」には、身近な家族や友人にサポートしてもらうのとは、また違った便利さがある。登録ボランティア数が多く、手が空いているボランティアが素早く対応してくれるので、何回でも気兼ねなくサービスを利用しやすいのだ。また、世界中にボランティアがいるため、時間を気にせずいつでも助けを求められるのもポイントである。

ボランティアの側からすると、この取り組みのために時間を空けておく必要がなく、たまたま都合の良いときに人助けができるという気軽さがある。また、相手の困りごとを解決するだけでなく、そこからちょっとした雑談に発展することもあるのが良い。会話を交わして温かい気持ちになったり、相手に感謝されて気持ちが上向いたり、「助けたつもりが助けられていた」と感じることがあるかもしれない。

同アプリは2021年、アップルが優れたアプリを表彰する「Apple Design Awards」の、ソーシャルインパクト部門の受賞作品となった。重要な社会的課題に光を当てるBe My Eyesが今後も注目を集め、より多くの視覚障害者がサービスを利用するようになるといい。

※1 10 facts about blindness and visual impairment (WHO)
【参照サイト】 Be My Eyes – See the world together

Edited by Erika Tomiyama

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