世界初、捨てられる食器のリサイクルから生まれた肥料「BONEARTH®」

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Sponsored by ニッコー株式会社

世界で重要視される、サーキュラーエコノミー(循環経済)。これまでは大量生産・大量消費・大量廃棄という作っては捨てるというサイクルだったが、世界の人口は急増しており、このままだと、2030年には地球2個分の資源が必要になると試算されている。(※1)

そんな中、1908年創業の100年以上続く老舗洋食器メーカー「ニッコー株式会社」は、食器が廃棄されることなく循環する世の中を目指し、これまでのリニアから循環型のビジネスモデルへの転換を行う。ニッコーが提供する使用できなくなったボーンチャイナ製食器を粉砕し、肥料「BONEARTH(ボナース)」としてリサイクルする新しい技術を開発。2022年2月10日に正式に農林水産省より肥料として認定された。2022年3月時点の同社の調べによると、陶磁器業界・肥料業界・主要企業では、世界初となるリサイクル肥料である。

NIKKO

Image via NIKKO

日本の陶磁器産業の危機を逆手に、リンの輸入・輸送に伴う環境負荷削減へ

ニッコーのボーンチャイナ製食器(NIKKO FINE BONE CHINA)は、陶磁器の原料である石や粘土に加え、食肉加工され残った牛の骨を溶解再合成したリン酸三カルシウムで作られている。ボーンチャイナのボーン(BONE)とは英語で骨を意味しており、ボーンチャイナ(BONECHINA)とは、素地中にリン酸三カルシウムを30%以上含む磁器の種類である。ニッコーのボーンチャイナ製食器には、リン酸三カルシウムが約50%含まれており、同社は、このリン酸三カルシウムが肥料として重要な成分であることに着目した。

日本はリン鉱石がとれないため、国内で消費するリンの全量を中国など海外からの輸入に頼っている。このまま人口が増加し続け農業生産がさらに拡大すれば、リン資源はあと100年足らずで枯渇するといわれている(※2)。また、輸入価格の高騰により肥料価格が大幅に上昇しているという問題もある。

さらに、日本の陶磁器産業は危機的状況だといわれている。陶磁器製食器需要は、1984年から2020年までの35年間で1/9まで落ち込んでいる。2020年には新型コロナの影響で飲食店とホテルの稼働率が50%となり、ニッコーにとっての取引先である業務用の市場も50%減となってしまった。

そんな中、ニッコー常務取締役の三谷 直輝さんは「当社の存在意義は何か?」「もっとやれることはないのか?」と考え、社内でプロジェクトチームを作り陶磁器事業の改革に取り組んだという。

社内ワークショップを通じて、社員から「環境にいいことをしたい」「世の中に対していいインパクトを与えたい」という未来志向の意見が多く出た。そこから、ホテルや飲食店のサステナビリティを応援する支援するウェブマガジンtable sourceをスタートしたり、「100年後の、循環する未来をデザインする」をテーマにNIKKO Circular Labを立ち上げたりと、前に進み続けた。

「循環型の組織づくりや、仕組みづくりが重要になってくる」と考え、誕生したのが、今回の捨てられる食器からできた肥料ボナースだ。

サステナブルな食料生産にもつなげる

NIKKO FINE BONE CHINAのリサイクルで生まれた肥料ボナースは、これまで欠けや割れがあったときに産業廃棄物としてただ捨てるしかなかった食器を、リン酸肥料として生まれ変わらせるアイデアだ。

ボナースの特徴は、3つ。まず1つ目は、食器製造の段階において高温で焼き作られているため臭いもなく、長期保存が可能であるということ。2つ目に、現存の肥料と比較すると、水に溶けないので、河川流出もしにくく環境への負荷が軽減するということ。万が一入れすぎたとしても、適量のリン酸を養分として吸収するので、成長の妨げになる心配はない。

3つ目に、NIKKO FINE BONE CHINAの特徴でもある純白の美しさにより、鉢の上に置くことで園芸用化粧砂としても活用できることである。今回、ボナースがきっかけで、新しいライフスタイルを提案する、卓上で使うプランター「Table Planter™(テーブルプランター)」も生まれた。

NIKKO

写真右が実際の商品。こちらに植物をしつらえ、その上にボナースを使用。土に混ぜて肥料とすることで植物の成長を促すことができたり、鉢の表面に敷き詰めることで土を隠し、見た目にも美しい鉢植えになったりと、2つの楽しみ方ができる。

ボナースの使用は特に花や実をたくさん付けたい場合に効果的だと言われており、専門性の高い石川県立大学との共同研究を進めていくことで、肥料効果が実証されている。

ボナース

小松菜での実験。ボナースの量を0%から、1.3%、3.3%と混合量を増やすことで、植物の成長に大きな差が出ることがわかった。

業界全体でサーキュラーエコノミーに取り組んでいく

今後は、同社が行うサブスクリプションサービス「sarasub」などを利用し、ホテル・レストランで使用された自社製品の回収に取り組んでいく予定だ。さらに、自社製品だけではなく他社品を含め広く回収し、ボナース以外のリサイクル商品の製造販売を行い、より多くの食器の循環を目指す。

NIKKOの目指す陶磁器の循環社会

NIKKOの目指す陶磁器の循環社会

1908年に創業し、100年以上にわたり上質な陶磁器づくりに取り組んできたニッコー。そのニッコーが次の100年も陶磁器づくりを続け、豊かな食とそれを楽しむ時間を守り続けていくために循環型のビネスモデルへ舵をきった。

同社は、食に関わる業界が結束して食器の循環に取り組むことを目指し、業界全体の変革を呼びかけている。食器の循環モデル導入に協力できるレストラン・農家・パートナーの募集も行っているので、取り組みに共感した方は、問い合わせてみてはいかがだろうか。

※下記より、ニッコー株式会社常務取締役の三谷さんと、IDEAS FOR GOODを運営する、ハーチ株式会社代表・加藤の対談もご覧いただけます。

Edited by Erika Tomiyama

※1 環境問題とは?地球の未来のために、知るべきこと
※2 迫り来るリン資源の危機
【関連記事】 レストランのサステナビリティを支える。洋食器メーカー「ニッコー」が描く、循環する食器の未来
【参照サイト】 世界初!洋食器のニッコー、捨てられる食器をリサイクルした肥料「BONEARTH®」を商品化
【参照サイト】 BONEARTH ボナース 捨てられる食器から生まれた美しい肥料
【参照サイト】 取り皿のサブスクリプションサービス

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