気候変動に立ち向かう「かなり炭素を吸収する木」米企業が開発

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1本の木は、1年間で約14キログラムのCO2を吸収する(※1)。そんな木が、より多くの炭素を取り込めるようになるかもしれないと聞いたら、驚くだろうか。

米カリフォルニア州の企業であるLiving Carbonは、光合成の効率を高めることで木を早く成長させ、27%も多くのCO2を取り込めるようにする技術を開発している(※2)

同社が開発した木からは、従来の木より53%も多くの葉と茎が発生し、その分多くの炭素を吸収できるという。

Image via Living Carbon

Image via Living Carbon

同社の木は、光合成の過程で誤って作られる欠陥のある糖鎖をリサイクルすることで、早く成長する。通常の場合、光呼吸というCO2を放出するプロセスにおいて、欠陥のある糖鎖が使われる。Living Carbonは光呼吸の仕組みを操作することで、欠陥のある糖鎖が木の成長に使われるようにするという。

同社は、この木が実際の土地で機能することを確かめるため、オレゴン州立大学とパートナーを組み600本以上の木を植えるという、フィールドトライアルを行っている。また、土地オーナーとパートナーを組み、3千エーカー以上の土地で木を育てる取り組みも始めるという。

Living Carbonは、耐腐敗性に優れた木を開発し、CO2が大気中に放出されるスピードを緩やかにする取り組みも行っている。木の根や幹が多くの金属を蓄えられるよう操作し、腐りにくい木を作る。この技術を使えば、重金属を多く含む劣化した土地でも木が育つというメリットがあるそうだ。

近年のバイオテクノロジーがここまで発展していることに、驚く人が多いのではないだろうか。

遺伝子操作には、作物の収穫量を増やせたり、農薬の使用量を削減できたりするというメリットがある一方、ある生物が持っている遺伝子を他の生物に組み入れることで、予期せぬ悪影響が生じるのではないかという懸念もある。あるがままの自然に手を加えることに、抵抗感を抱く人もいるだろう。

Living Carbonは、フィールドトライアルなどの研究段階で、光合成の効率を高めた木が及ぼす影響を確かめるという。

重要な炭素吸収源である木の可能性を、どこまで広げることができるだろうか。

※1 09 森林は二酸化炭素をどれくらい吸収しますか? – 岡山県ホームページ(森林研究所)
※2 Climate Change Breakthrough: New Research Indicates Photosynthesis Enhanced Trees Grow Faster and Capture More Carbon
【参照サイト】Living Carbon
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