小売の世界的大手マークス&スペンサーによる、3つの食品ロス対策

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食品廃棄は、家庭、レストラン、小売店、工場など、さまざまな場所で発生する。小売業の現場における食品廃棄を減らすには、どうすればいいだろうか。

イギリスでは、2018年に約950万トンの食品廃棄が発生したという。最も多くの食品廃棄が発生した場所は家庭(70%)で、小売業が占める割合は3%だった(※1)

全体に占める割合は低いが、年間約30万トンの食品廃棄物を生み出している食品小売業。このような状況の中、食品などを販売するイギリスの小売大手マークス&スペンサー(M&S)は、さまざまな食品ロス対策を実施している。

01. 野菜とフルーツの賞味期限の表示をナシに

同社は2022年7月、イギリスの店舗で取り扱う300種類以上のフルーツと野菜の、賞味期限の表示をなくすと発表した。これにより、M&Sが販売する生鮮食品の85%に賞味期限が表示されなくなるという。

これは、家庭からの食品ロスを減らす工夫だ。消費者が賞味期限の表示を見て、まだ食べられる食品を捨てることを防ぐ。

02. 熟したバナナを勧める、“バナナ袋”

M&Sは2021年以降、熟したバナナ3本以上を25ペンス(約40円)で販売する取り組みも行っている。バナナを買った人には、ヴィーガンのバナナマフィンとバナナブレッドのレシピを紹介し、熟したバナナも美味しく調理できることを伝えている。

10店舗で実施したトライアルで、この“バナナ袋”は好評を博し、6,800袋も売れたという。この結果を受けて、イギリスの全店舗でバナナ袋が販売されることになった。

M&Sによると、消費者は黒い斑点のないバナナを買いたがるため、スーパーでは多くのバナナが廃棄されるという。同社は、熟したバナナを「お菓子やパンにぴったりなバナナ」とアピールすることで、食品ロスを減らそうとしている。

03. 売れ残ったパンを冷凍パンに

2020年に始まった、売れ残ったパンを冷凍のガーリックパンにして販売する取り組みもユニークだ。冷凍パンにすると、30日間保存できるという。冷凍パン1パックは、1ポンド(約160円)から買うことができる。

人々に「美味しそう」と思ってもらえるように売り方を工夫し、食品ロス削減を目指すM&S。「見切り品コーナーには魅力的な商品がなさそう」というイメージを持つ人も多いなか、どのようにして価格以外のアピールポイントを作ればいいのか、考えてみるのも良さそうだ。

※1 Food waste in the UK – House of Lords Library
【参照サイト】M&S REMOVES BEST BEFORE DATES ACROSS FRUIT AND VEG IN BID TO TACKLE FOOD WASTE
【参照サイト】M&S INTRODUCES NEW 25p BANANA BUNDLES TO REDUCE WASTE
【参照サイト】M&S turns surplus baguettes into garlic bread
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