天ぷら、エビフライ、エビチリ……和洋中、様々な料理に使われるエビ。
現在、世界で消費されているエビの大部分は東南アジアのマングローブ域で生産されている。そして、マングローブ林のエビ養殖池への転換は、東南アジアのマングローブ林が激減した最大の要因だと言われているのだ(※)。
マングローブ林は、多大なCO2を蓄える機能を持ち、絶滅危機に瀕した動物の生息地にもなっている。私たちがエビを楽しむことができる裏には、こうした豊かな環境の破壊があるのだ。
そんななか、植物性の素材だけを使い、環境に負荷をかけないエビ作りをしているのが、ドイツのスタートアップ企業・Numi Foodsである。
Numi Foodsのミッションは、おいしく健康的なシーフードの代替品を提供し、環境とのバランスを保ったフードシステムを作り出すことだ。伝統的なシーフードを分子レベルに落とし込むバイオテクノロジーのアプローチをとっており、味、質感、栄養にこだわりながらヴィーガン・エビづくりを行っているのが特徴である。
Numi Foodsによると、養殖エビは、食品カテゴリーのなかで4番目に大きなCO2フットプリントを持つ。そのため、消費者が気軽に植物性エビを選べるような環境を作ることができれば、大きなインパクトを与えられると考え、ヴィーガン・エビの開発に踏み切ったのだという。現在、Numi Foodsの代替エビは、従来の養殖エビに比べて、CO2排出量を最大70%削減することに成功している。
Numi Foodsが目指すのは、10年以内にシーフード市場の30%を代替していくことだ。近年、コンビニで大豆ミートのお弁当を見かけたり、カフェで植物性のミルクを見かけたりするのが当たり前になってきたように、街中でヴィーガン・エビを見ることができるようになる日も、そう遠くはないかもしれない。
※ マングローブと環境問題(国立研究開発法人 国立環境研究所)
【参照サイト】Numi Foods
【参照サイト】Numi foods brings plant-based shrimp and salmon to your plate(Y Combinator)