株式会社ロフトワークとクリエイティブコミュニティのFabCafe Globalは2月22日、イベント「crQlr Summit 2023 JAPAN」を三富今昔村(埼玉県入間郡三芳町)にて開催する。
2022年に開催された循環型経済をデザインするグローバル・アワード「crQlr Awards 2022」の授賞式も兼ねる同イベントは、受賞者・審査員・有識者による「今後のサーキュラーエコノミー実現に向けた動向や課題」についてのトークセッションや、ネットワーキングの場を提供する。参加者が意見交換し、同イベントが将来に向けた取り組みを考える機会となることを目指す。
「crQlr Awards 2022」では、世界30カ国の企業・団体・スタートアップ・デザイナーなどによる131点の応募のなかからプロジェクト53点が受賞した。今回、コミュニティのためのボトムアップな活動に敬意を示すべく、特別賞「FabCafe Global Prize」が新設され、4点が選出された。
審査員は、産業廃棄物中間処理業で減量化・リサイクル化率98%を達成している石坂産業株式会社の石坂典子代表取締役、世界で最も持続可能なフェスティバルとして表彰されたDGTL Festivalを開催している蘭Revolution FoundationのMitchell van Dooijeweerd サステナビリティ・マネージャー、アップサイクル生地の市場構築を目指すmoreloop(本社タイ)の共同創業者Amorpol Huvanandana氏を含む、国内外の多様な分野の専門家10名が務めた。
三富今昔村は、不法投棄のごみの山を石坂産業株式会社が再生・保全し、地域の文化や伝統および資源循環の重要性を伝えるべく、一般開放している東京ドーム約4.5個分の広大な土地だ。同イベントは、循環性を創出する三富今昔村において、参加者が五感でcrQlr(サーキュラー)を体感することを目指し、石坂産業の資源再生工場見学や「石坂オーガニックファーム」のランチ・軽食・音楽を提供する。
加えて、FabCafe Mexico City(メキシコ)とFabCafe Toulouse(フランス)をつないだオンラインの「crQlr Summit」も英語で無料開催する予定だ。crQlr Summitのスピーカーは、世界各国のFabCafeの創業者・crQlr Awards審査員・crQlr受賞者など。参加者が意見を交わすことで、サーキュラーエコノミー実現に向けた相互学習の機会、およびサーキュラーエコノミーの牽引者とつながる機会を提供することを目的とする。FabCafe Globalのニュースレターに登録すると、同サミットに申し込める。
crQlr Summit 2023 JAPANの当日の流れ(以下、人名は順不同・敬称略)
1. 受賞プロジェクト3名によるプロジェクト紹介:松山 麻理、青野 祐治、樋口 明彦
2. ディスカッション:テーマは「地域における活動で乗り越えてきた壁やその乗り越え方について」、「地域に根ざした活動での課題や学びを、ほか地域、そしてグローバルにつなげていくには?」。パネリストは受賞プロジェクト3名、鳥居 希、審査員2名(岩岡 孝太郎、小川 敦子)
3. イベント参加者同士での意見交換
4. まとめ
登壇者のプロフィールは、以下のとおり。
基調講演
鳥居 希(株式会社バリューブックス 取締役 / いい会社探求):2015年、古本の買取・販売事業を展開する株式会社バリューブックス(長野県上田市)入社。現在は同社にて、グローバルエコノミーをすべての人、コミュニティ、地球のためのものへと変えていくB Corporation™️の認証取得に向けて取り組む。自社の認証取得に向けた取り組みと並行して、『B Corpハンドブック よいビジネスの計測・実践・改善』を黒鳥社との共同プロジェクトによるコミュニティで翻訳。2022年6月、バリューブックス・パブリッシング第一弾の書籍として出版。前職は、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社に15年間勤務
crQlr Awards 2022受賞者
松山 麻理(Brand Editor /オイシックス・ラ・大地株式会社 らでぃっしゅぼーや通販事業本部 販売企画室):慶應義塾大学総合政策学部卒。オイシックス・ラ・大地社で、らでぃっしゅぼーやのブランド育成に従事。作り手と生活者をつなぐ季刊誌『おはなしSalad』の企画・編集、ブランドサイトの企画・コピーライト・編集などを中心に、サステナブルな取り組みを発信する。フードロス削減プロジェクト「ふぞろいRadish」、サーキュラーエコノミー推進プロジェクト「ぐるぐるRadish」のコンセプト立案・販促プラン・ブランディングを担う。「ふぞろいRadish」でジャパン・サステナブルシーフードアワード2021ファイナリスト表彰。「ぐるぐるRadish」でcrQlrAwards2022「捨てない循環デザイン賞」受賞
青野 祐治(株式会社PlayBlue CEO):循環型地域経済に興味を持ち、社会人向け学習プラットフォームのスタートアップでオウンドメディアの編集などに携わる傍ら、2018年に複業で地元のストーリーメディアを創刊。 地場野菜の魅力やストーリーを”一杯のカレーで味わえる”「カップカレー」のプロデュースや地元の未来を考えるトークイベントを主催。地方創生メディアへの寄稿に加え、フードレスキューサービスと連携し地域の発展も目指してきた。現在は、地元メディアの活動から得た経験をきっかけに複業として、アパレルロス問題と地域活性を目的とした、染め直しアップサイクルプラットフォーム「somete」や服の循環を生み出すコミュニティ「まちのクローゼット(まちクロッ)」をプロデュース
樋口 明彦(九州大学大学院 工学研究院 環境社会部門 准教授):最終学歴はハーバード大学博士(Doctor of Design)、専門は景観学。土木公共事業の分野を中心に、日本各地の風景を維持・修復する仕事、新たな空間を創造する仕事に従事してきた。近年は、地域の歴史的な石積みや地場木材を活用したさまざまなグリーンインフラの企画と実装に取り組んでいる。主な受賞歴はアジア都市景観賞(大分市の線路敷ボードウォーク広場)、土木学会デザイン賞最優秀賞(津和野川・名賀川河川災害復旧助成事業名賀川工区)など
crQlr Awards 2022審査員
岩岡 孝太郎(株式会社飛騨の森でクマは踊る 代表取締役 CEO):1984年東京生まれ。千葉大学卒業後、建築設計事務所で勤務。その後、慶應義塾大学大学院(SFC)修士課程修了。2011年、“FabCafe”の構想を持って株式会社ロフトワークに入社。2012年、FabCafeをオープン、ディレクターとして企画・運営する。2015年、株式会社飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)の立ち上げに参画し、2016年FabCafe Hidaを開設、2019年より現職
小川 敦子(ロフトワーク京都 アートディレクター):1978年生まれ。百貨店勤務を経て、生活雑貨メーカーにて企画・広報業務に従事。総合不動産会社にて広報部門の立ち上げに参画。デザインと経営を結びつける総合ディレクションを担当する。その後、フリーランスのアートディレクターとして、医療機関などさまざまな事業領域のブランディングディレクションを手掛ける。そこにしかない世界観を顧客と共に創り出し、女性目線で調和させることを目標としている。2020年ロフトワーク入社。2021年より経産省中部経済産業局、大垣共立銀行が中心となって開始した、東海圏における循環を描くプロジェクト「東海サーキュラーエコノミー」のプロジェクトマネージャーを担当
木下 浩佑(MTRL / FabCafe Kyoto マーケティング & プロデュース):素材を起点にものづくり企業の共創とイノベーションを支援する「MTRL(マテリアル)」と、技術とクリエーションをキーワードに多様なクリエイター・研究者・企業が集うコミュニティ拠点「FabCafe Kyoto」に立ち上げから参画。オンライン・オフラインのワークショップ運営や展示企画のプロデュースなどを通じて「化学反応が起きる場づくり」「異分野の物事を接続させるコンテクスト設計」を実践中
crQlr Awards 2022 PRODUCER
小島 和人(ロフトワーク プロデューサー):専門学校で建築を学ぶ。その後、デザイナー、ディレクター、プランナーとして新規ブランド / 店舗 / 商品開発 / PRプランなどに広く携わる。個人では美術作家「ハモニズム」として活動し、ファッション / 植物研究 / 都市菜園などのコラボにより分野を越えた作品づくりを展開する。2018年ロフトワークに参画し、新規事業創出や共創空間作り地域産業推進など幅広くプロデュースを担当。2020年からはSFプロトタイピングなどの手法を積極的に取り入れ、先行きが見えない社会の中で企業や団体が今後何をすべきか?を提案している。企業人としても作家としても「未来」に対する問いの設計に興味がある。あだ名は「ハモさん」
MUSICAL GUESTS
原 創平(みらい楽器ラボ):愛知県生まれの打楽器奏者、楽器発明家。「音楽と楽器をもっと身近に」をテーマに、ペットボトルや空き缶など、身の回りのものから140種類以上の楽器を独学で制作。日用品楽器ユニットkajiiのメンバーとして、40を超えるテレビ番組に出演。名古屋を拠点に、全国でコンサートやワークショップを開催している。最近はまっているものはカラクリ仕立ての創作楽器。(みらい楽器ラボとして、crQlr Awards 2022受賞)
ELECTRONICOS FANTASTICOS!:アーティスト/ミュージシャンの和田永を中心に、さまざまな人々が共創しながら、役割を終えた電化製品を新たな電子楽器へと蘇生させ、徐々にオーケストラを形づくっていくプロジェクト。現在、東京・京都・日立・名古屋の4都市に活動拠点を設け、70名近いメンバーが参加している。これまでに、ブラウン管テレビ、扇風機、換気扇、ビデオカメラ、エコアン、電話機などの家電を楽器化してきた。電化製品が本来持っている機能を創意工夫によって積極的に楽器へと読み替え、使い古された技術から生まれる「電磁民族音楽」やその祭典を夢想しながら、日々ファンタジーを紡ぎ出している
crQlr Summit 2023 JAPANの概要
【プレスリリース】crQlr Summit 2023 JAPAN -五感で学ぶ、地域に根ざしたボトムアップな循環型経済- 特別ツアーイベント開催
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※記事中の画像の出典:株式会社ロフトワーク
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Circular Economy Hub」からの転載記事となります。