ロンドンの駅に突如現れた「終わりのない壁」が教える、ホームレス状態のリアル

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決まった住所がない。だから、銀行の口座を持てない。だから、仕事に就けない。だから、家を借りられない。

これはホームレスの人々が陥りやすい貧困のループだ。一度家を失うと、その人々は社会から切り離され、経済的困難から抜け出すことが難しくなる。このような状況を「自力」で打破し、解決の糸口を見つけるのは非常に難しい。

こうした貧困の現状をより多くの人に知ってもらうべく、イギリスのHSBC銀行グループは、ヨーロッパで最も混雑する駅の一つであるロンドンのキングス・クロス駅で、この悪循環を描いたインスタレーションを行った。

Image via Campaign

イギリスでホームレスの人々を支援するShelterと広告代理店・Wunderman Thompsonとのパートナーシップのもと、HSBCは「登ろうとすると動く」クライミングウォールをつくったのだ。壁には、「No Bank Account, No Job, No Home(銀行口座がない、仕事がない、家がない)」とのメッセージが記されている。

人が壁を登ろうとすると、壁が下の方向に動いてくるため、いっこうに上に行くことができない。銀行口座がない、仕事がない、家がない、銀行口座がない……壁に書かれた言葉だけがループしていく。このインタラクティブな装置を通じて、HSBC銀行グループは金融機関からの支援がホームレスを防ぎ、困難な時期を乗り越えるのにどれほど重要であるかを示したのだ。

イギリスでは、物価の高騰なども相まって「生活費の危機」が叫ばれて久しい。ロンドンでホームレス状態にある人の数は、10,000以上(※)。夏の季節は、経済的な貧困に加えて、気候変動による猛暑が彼らをさらに追い詰めている。

ホームレス状態を打破するために根本的な解決の鍵は、このインスタレーションが示すように、金融機関が握っているのかも知れない。今回のプロジェクトを通じて、HSBC銀行グループは自社の役割を再定義し、ホームレスの人々が直面する困難を共有し、それに対する理解を深めるきっかけを作った。これがマーケティング活動に終わらず、金融機関が社会的な問題に取り組む姿勢を強化することにつながっていくと良い。

About Homelessness – STREETS OF LONDON
【参照サイト】A climbing wall that never ends to raise awareness of the plight of the homeless
【参照サイト】HSBC UK and Shelter “Hanging on” by Wunderman Thompson
【参照サイト】Parents expect to feel the pinch as summer holidays aproach
【関連記事】ホームレス問題から目を逸らさぬように。ロンドンの駅に突如現れた巨大彫刻

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