新しいCMはもういらない?M&M’Sチョコが人気広告を「再利用」した理由

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「再利用」といえば、ペットボトルや服、ダンボールなど、物理的なモノを思い浮かべる人が大半だろう。これまでも、再利用の対象範囲は拡大してきたが、ついに「広告」を再利用する企業が現れた。

誰もがおそらく一度は目にしたことがあるであろう、M&M’Sやスニッカーズなどでお馴染みのMars(マース)社が、ファンのお気に入りの広告を再利用し、気候変動への前向きなメッセージを発信するキャンペーン「ヘルシー・プラネット・プロダクションズ」をはじめた。このキャンペーンはアメリカ、イギリス、メキシコで、MetaのプラットフォームやYouTubeを通じて展開され、アメリカにおいては、M&M’S、TWIX、Ben’s Originalの広告が目玉となる。

この広告キャンペーンでは、コンテンツを再利用し、移動や撮影、セット制作などをなくすことで、制作時のCO2排出量を削減した。また、クリエイティブ開発の過程においてもCO2排出量を減らすことを優先的に考え、古い広告に音声を加えシンプルなアニメーションを使用するなどの取り組みを行った。さらにマース社は、グリーンエネルギー認定オフィス・スタジオなどの業界認定を受けている組織や企業との提携も進めている。

Image via Mars

同社は2050年までにネット・ゼロ・エミッションを達成するための「マース・ネット・ゼロ・ロードマップ」を掲げており、このキャンペーンはその中に位置づけられるものだ。ロードマップには、国際機関であるSBTi(Science Based Target Initiative)が承認した、「2030年までにバリューチェーン全体でCO2排出量を半減させる」という新たな目標も含まれている。

同社のアンドリュー・クラーク氏は、SupermarketNewsの取材に対して「消費者から見ると、企業が真の変化をもたらすために何をしているのかは必ずしも明らかではありません。だからこそ私たちは、消費者に親しまれている私たちの代表的なブランドを広告に起用し、気候変動に対する希望と前向きなメッセージを伝えることにしたのです」と語っている。

米国、英国、中国、日本、ドイツ、フランス、インドで実施されたイプソス社の調査によると、成人の約7割が、企業は経済的な課題と同様に、もしくはそれ以上に、気候変動問題への取り組みに注力すべきだと考えていることがわかっている。

Image via Mars

人の目を引くために新しいものを創ることが当たり前と思われていた広告に、「再利用」という概念を持ち込んだ、今回のマース社の取り組みは斬新だ。物理的なモノではない「素材」の再利用というアイデアは、今後さらにCO2排出量の削減を進めるためのヒントになるのではないだろうか。

【参照サイト】Reusing Fan-Favorite Ads to Deliver Message of Hope and Climate Action
【参照サイト】Mars to ‘reuse’ adverts to highlight climate action
【参照サイト】マース、バリューチェーン全体で2030年までに排出量を 50%削減する「加速的、妥当な投資額で達成可能な」 ネットゼロ ロードマップを発表
【参照サイト】REUSING MARKETING TO PROMOTE SUSTAINABILITY
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Edited by Megumi

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