気候変動の影響をひしひしと感じる昨今。酷暑の体育授業や部活動で熱中症の生徒たちが搬送されるニュース。エアコンが十分に効かない教室──今、世界の若者たちはどんな想いで、気候変動の問題を見つめているのだろうか。
こんな激動期に、世界各地で「Z世代が社会を動かすムーブメント」が活発化しているのはご存じだろうか。リーマンショック時代、米国では気候変動問題と経済格差の是正を目的に「グリーンニューディール」という経済刺激策が提唱された。そんな米国では今、全米50校以上の高校に通う高校生たちが、「学校版グリーンニューディール」を提唱し、学校において気候変動対策を実施するよう求める運動を繰り広げているのだ。
この投稿をInstagramで見る
この運動を進めているのは、若者主導の環境団体「SUNRISE MOVEMENT(サンライズ・ムーブメント)」。高校生たちの要求は、気候変動を教育カリキュラムに盛り込むことや、卒業後にグリーン・ジョブに就けるよう道筋をつけること、校舎やバスなどの学校インフラをより気候変動に対して強靭なものに変えていくことなど、多様だ。
さらには、災害計画の策定や地元産食材を使用した無償給食の提供なども含まれている。こうした要求のためにデモ行進を行うほか、教育委員会への請願も行う方針だという。こうした高校生たちの行動を受け、政治家も動き出している。ワシントンDCでは、カリキュラム改革、学校改修、人員補強などを目指した法案が提出される運びとなったのだ。
この運動で注目したいのは、気候変動を教育カリキュラムに盛り込ませようとしている点だ。地球規模の危機について正しい知識を学び、その上で判断・行動していこうという若者たちの姿勢が現れている。
気候変動に関する問題は、利害関係者が多く政治性が高い。それゆえ、教師も踏み込みたがらない領域でもある。実際、テキサス州では、化石燃料の「肯定的側面」の指導を教育委員会が要請するなど、各州での「教育介入」が相次いでいる。ある高校生は次のように英国メディアガーディアンに対して語っている。
「私たちは、気候変動について何も学習していません」
そんな危機感が、米国の高校生たちを突き動かしているのだ。
米国の「学校のためのグリーンニューディール」は、学校内での教育のあり方を修正させようとするZ世代の運動である。若者たちの声は、あなたの心にどう届くだろうか?
【参照サイト】‘Whatever it takes’: students at 50 US high schools launch climate initiative
【参照サイト】SUNRISE MOVEMENT公式ホームページ
【参照サイト】教室が暑すぎる!「エアコン最強でも汗だく」その理由は頭の上に…文科省は「補助メニュー」があると言うけど
【関連記事】世界初。イタリアで「気候変動」を学校の必修科目へ
【関連記事】「これ以上、未来を汚さないで」米国の気候変動裁判で若者が州に勝訴
【関連記事】NY、すべての公立学校で毎日2分以上の「マインドフルネス呼吸法」を義務化
Edited by Erika Tomiyama