※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「Livhub」からの転載記事となります。
爽やかな朝。鳥のさえずりを聞きながら、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込み、ビーチを目指して草原を軽やかに走り抜ける。
大自然の中で思い切り体を動かし、湧き上がる自然への敬愛と多幸感を存分に味わいながら、自分自身の心と体を満たしていく。
スコットランドの田舎町に、そんな贅沢なリトリートを体験できる場所がある。グラスゴーから電車とフェリーを乗り継ぎ2時間ほど、アーガイル地方にある「Auchgoyle Farm」だ。
Image via Auchgoyle Farm
元酪農場だったというこの場所は、元経営コンサルタントのデイビッドと生態学者のキャサリン・ローリー夫妻が、家族経営の農場と民泊を運営しながら、リワイルディング(rewilding:自然再生)によって周囲の自然を再生してきた。
彼らは大自然に囲まれたこの農場で、走ってアーガイルの森や丘、海や湖を味わい尽くすワイルドランニング・リトリートや、サイクリング、農場ツアーなどが体験できるファームステイを提供している。
Auchgoyle Farmの最大の魅力であるワイルドランニング・リトリートは、“アーガイルの秘密の海岸”と呼ばれるビーチ沿いや古代から佇む森林地帯、野原や小川沿いなどを走ったり、岩を登ったりと、オフロードで五感を使って自然に触れるアクティビティだ。
Image via Auchgoyle Farm
4日間のリトリートにはヨガセッションや、農場でさまざまな生物と触れ合いながらリワイルディングについて学ぶ体験も組み込まれている。
ランの合間にはビーチで石を集めたり、海辺や山の野生動物たちを観察したり、川辺のサウナや読書を楽しんだり、自然ととことん向き合いながらリラックスした時間を過ごす。
ゲストはデイビッド手作りのエコキャビン、またはアットホームな欧風ファームハウスに滞在し、夜には焚き火を囲んでストレッチをしながら、おしゃべりを楽しみ、夫妻が作る地元産の鹿肉やじゃがいもなどを使った手料理やデザートに舌鼓を打つ。
Image via Auchgoyle Farm
パンや乳製品、コーヒーなどAuchgoyle Farmで提供される食材の多くが自家製のものや、地元住民が作った新鮮でローカルなものばかりだ。ローリー夫妻は地元コミュニティを大切にし、地元住民と助け合い、地域経済にも還元しながらファームステイを運営している。
時に美味しいコーヒーやケーキを目指して、農場からカフェまでの小道を散策したり、湖に足を浸し、古城を眺めながらスパまでの道を走り、サウナで筋肉の疲れをほぐしたりと、農場と地元コミュニティを行き来し、暮らすように旅する体験もできる。
自然を知り尽くしているローリー夫妻は、オーガニック栽培のほか、植林やアグロフォレストリーにも取り組んでいるといい、これまで野生動物などの生態系の再生のために果樹園を植え、湿地や池を作り、野生の花が咲く草原や土壌を復元してきた。
Image via Auchgoyle Farm
農場で飼われている希少種シェットランド牛、ポニー、豚などは集団放牧することで、土に肥料を与え、耕し、寄生虫などによる負荷も減らしながら、自然の力に任せて土壌や植物の再生を促す役割を担っているという。ファームに滞在するゲストも農場体験ツアーの中で自分の木を植えることで、Auchgoyle Farmの再野性化に貢献できる。
Image via Auchgoyle Farm
ファームハウスや木造キャビンの運営も、プラスチックを減らし、環境にやさしい素材のリネンやタオルを使用、木材燃料を使った暖房システムへ転換するなど、自然環境に可能な限り配慮されている。
ちなみに、Auchgoyle Farmを公共交通機関で訪れるとワイルドランニング・リトリートの料金が10%割引になるといい、料金の5%はスコットランド野生生物トラストに寄付される。
あらゆる生物が完璧な循環の中に暮らすこの農場で、人の暖かさに触れながら都会では聞こえなかった生き物たちの声に耳を澄ませ、自分も自然の循環の一部として溶け込み時を過ごす。そこでしか感じられない充実感がきっとあるはずだ。
都会の喧騒に疲れていたら、心と体が癒しを求めていたら、身の回りにある幸せを忘れかけている気がしたら、誰もが訪れる観光地からもう少し先に足を伸ばして、まだ見ぬ大自然の懐に飛び込んでみるのはいかがだろう。
Image via Auchgoyle Farm
【参照サイト】Auchgoyle Farm
【参照サイト】‘We howled like wolves’: a running break in Scotland’s wild west
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