今、自分にできることを。能登半島地震の被災地を支援するアクションまとめ

Browse By

2024年1月1日16時10分、石川県能登地方で、マグニチュード7.6(最大震度7)の地震が発生した。未だ続く余震や避難所での生活など、被災地では苦しい日々が続いている。1日も早く被災した人の心身の傷が癒え、日常が戻ることを願うばかりだ。

地震発生から数週間、たくさんの人々が被災地のために次々と立ち上がる様子を、数多く目にしてきた。私たちがメディアとして今できることは、彼らの活動を発信し、アクションの輪を広げていくこと。そんな想いから、この記事では被災地のための取り組みを紹介していく。

被災地に寄付をする・活動団体を支援する

炊き出しなどの現地での支援を行う団体への支援や、商品の購入を通した寄付。企業や団体の取り組みを通して今すぐにできる被災地支援を紹介していく。寄付は、できるだけ長期的に行っていくことが望ましい。それぞれのできる範囲で、継続的に支援を行っていきたい。

For Good:能登半島地震緊急支援クラウドファンディング

社会課題を解決するプロジェクトだけを支援する掲載手数料0円のクラウドファンディング「For Good」は、1月2日に緊急支援金を募るためのクラウドファンディングを立ち上げた。

2023年1月11日の時点ですでに360人が寄付し、200万円以上が集まっている。期間は2月末まで、支援は1,000円から可能だ。掲載手数料は0円なので、寄付金は全て被災地へ送られる。

▶︎ 令和6年能登半島地震に対する緊急支援(クラウドファンディングページ)

AAR Japan(認定NPO法人 難民を助ける会):炊き出しや物資などの支援活動

世界中で難民支援を行うAAR Japanは、輪島市・珠洲市での炊き出しや、県内各地の障がい福祉施設への支援物資の輸送を行なっており、活動のための寄付を受け付けている。

炊き出しは避難所や近隣住民が集まる公民館などで行い、障がい福祉施設へは衛生用品やペットボトル飲料水、食料などを提供している。また、行政・支援団体による支援情報や相談できる窓口を伝えるなど、支援から取り残された外国人被災者のサポートも行なっている。

▶︎ 支援情報を見る・AAR Japanを通して寄付をする

日本サステイナブル・レストラン協会(SRAジャパン):レストランなどと連携した炊き出し活動

飲食店と共にサステナブルな飲食業界を推進する「日本サステイナブル・レストラン協会」では、AAR JapanとPeace Projectと連携して珠洲市で炊き出しや物品の提供を行なっている。また、能登のSRAジャパン加盟店「日本料理富成」と連携して避難場所での炊き出しに使用する野菜の提供などを行っている。

同団体は、SRAジャパン加盟店の「ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ」と協力した物品での支援、また団体への支援金を受け付けている。詳細は以下のサイトから閲覧できる。支援活動期間は、1月31日まで(状況に応じて延長)。

▶︎ 日本サステナブル・レストラン協会を通して物資や寄付で支援する

雨風太陽:ポケマル炊き出し支援プロジェクト

東日本大震災をきっかけに創業し産直EC「ポケットマルシェ」を運営する「雨風太陽」は、ポケットマルシェ生産者の食材提供のもと、被災地での炊き出しを支援する「ポケマル炊き出し支援プロジェクト」を開始した。

同社が「ポケットマルシェ」に登録している生産者へ炊き出しへの食材提供についてのアンケートを実施したところ、約300名の生産者から食材の無償提供の申し出があったという。同社はプロジェクトページにて、「産地直送の美味しい食材を用いて、避難生活を送る方々が食を通して活力を得るきっかけを作りたい」と伝えている。

▶︎ ポケマル炊き出し支援プロジェクト

NPO法人カタリバ:被災地での子どもの預かりや居場所支援

社会に10代の居場所と出番をつくることを目指した活動を行う「NPO法人カタリバ」では、災害支援事業「sonaeru」を中心に、震災発生後の1月3日から現地で被災状況や子ども支援についてのニーズ調査を開始。1月4日には七尾市に子どもの預かりや居場所支援を行う「こどもの居場所」を開設、1月5日には珠洲市で子どもの居場所運営を行う「#NPO法人ガクソー」と連携し、避難している現地の高校生と共に居場所「#みんなの子ども部屋」づくりを始めた。

気づかぬうちにストレスを抱える子どもたちのために不安を和らげる居場所を届け、また子どもがいる家族の負担も減らす活動だ。居場所の概要や詳細は以下のページから確認できる。また、災害支援事業sonaeruへの寄付を通して被災地を応援することもできる。

▶︎ 令和6年能登半島地震で被災した石川県珠洲市で2拠点目となる子どもの居場所「みんなのこども部屋」を1/7より開設(ニュースリリース)
▶︎ NPO法人カタリバの災害支援sonaeru事業への寄付を行う

石川県への直接寄付

寄付先に迷っている方は、石川県への直接寄付も可能だ。石川県では、日本赤十字社石川県支部及び石川県共同募金会と連携し、2024年1月4日から2024年12月27日の間、義援金を受け付けている。

集まった義援金は、関係団体等で構成される石川県災害義援金配分委員会により配分基準等を決定し、市町を通じて被災者の人々へ届けられる。

▶︎ 令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害義援金の受付について

ヤマチク:アウトレットお箸の売上寄付キャンペーン

熊本県南関町に工場を構え竹の箸だけを作る「ヤマチク」は、被災地の支援商品として「アウトレットのお箸3膳セット」を販売している。売上は「令和6年能登半島地震 復旧義援金」として全額寄される。

ヤマチクは支援商品のページに、「熊本地震や九州豪雨を経験してきた私たちは、継続的な支援の重要性を身をもって感じています」と記載している。現在は正規商品を製造する時間や在庫の関係でアウトレット商品を寄付対象としているが、今後は代替商品を作って支援を続けていくとしている。

▶︎ 【令和6年能登半島地震 全額寄付商品】アウトレットのお箸3膳セット

ヘラルボニー:ムーブメント「#障害者を消さない」

「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、主に知的障害を持つ方々が描いたアート作品を用いたプロダクトを作る「ヘラルボニー」は、緊急時に取り残されてしまいがちな障害を持つ方々への支援を促進するためのムーブメント「#障害者を消さない」を立ち上げた。これは、東日本大震災のとき、避難所から追放され、半壊した自宅や親戚の家への帰還を余儀なくされた障害のある人々が大勢いたことを受けて作られたものだ。特設ページには、災害時の障害のある人の困りごとや必要な情報などがわかりやすくまとまっている。

さらにこの活動の一環として、特定商品の売上から生産にかかるコストと「#障害者を消さない」活動の実費を差し引いた金額を、能登半島地震の支援・復興に向けた寄付する取り組みも開始。より多くの人に支援に参加してもらうため、寄付対象商品を全て10%OFFとしている。

▶︎ #障害者を消さない(特設ページ)
▶︎ 能登半島地震支援・寄付対象商品(ヘラルボニー公式オンラインショップ)

#障害者を消さない

震災について知る

いざ自分の地域で自然災害が起こったとき。あなたは適切な対応ができる準備を整えられているだろうか。災害についてよく知っておくことも、自分や周りの人の命を守るために重要だ。ここからは、さまざまな視点から震災について学べるコンテンツを紹介したい。

Bridge KUMAMOTO:『大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる本』

2016年の熊本地震をきっかけに立ち上がった、クリエイティブで熊本の復興支援を行う「Bridge KUMAMOTO」は、『大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる本』をオンラインで公開している。

内容は、令和2020年7月に熊本県を中心に九州や中部地方などで発生した集中豪雨際の被害状況や、そのときに実際に行われたボランティアのデータや体験談などをまとめたもの。ボランティアの難易度や参加時期などをデータで見られるほか、ボランティアを行なった人々による多くの体験談からは、ボランティアに行く際に気をつけるべきことやボランティアをから学んだことや率直な感想を知ることができる。

▶︎ 『大切な人が被災したときに、自分にできることが見つかる本』

ボランティア参加における各アクションの難易度グラフ

Image via Bridge KUMAMOTO

issue+design:『震災のためにデザインは何が可能か』

生活者目線のデザインを通した社会課題の解決を目指す「issue+design」は、阪神淡路大震災の教訓を活かして災害時に必要なデザインのあり方を提起する冊子『震災のためにデザインは何が可能か(2008年出版)』をオンラインで全文公開している。

冊子内では、避難生活1日目から2か月までに避難所で起こる事を小説のような文体でリアルに表現し、避難生活の課題を明らかにしている。さらに、その課題を解決するための5つのデザイン(継続を促すデザイン、決断を支えるデザイン、道を標すデザイン、溝を埋めるデザイン、関係を紡ぐデザイン)と、その具体例を提案している。自分の地域で災害が起こったときのためにも、今確認しておきたい内容だ。

▶︎ 『震災のためにデザインは何が可能か』

情報鮮度を識別可能なグラデーションメモ

Image via 震災のためにデザインは何が可能か

東邦大学:「防災とこころのケア」を学ぶ動画

東邦大学は、大田区と連携し開催している 「大田区官学連携人材育成講座」より、令和3年度に行われた「防災とこころのケア」をテーマにした講義の動画配信を開始した。

講義は東邦大学医学部精神神経医学講座の根本隆洋教授によるもので、「避難者のこころのケア」と「支援する職員のこころのケア」の2回にわかれている。避難者編では東日本大震災における支援を通した災害時の心理的反応についてなど、支援者編では対応する職員が陥りがちな心理的不調についてなどを、具体的な事例をあげながら詳細に解説されている。

▶︎ 「防災とこころのケア」を学ぶ動画

一度立ち止まって、正しい情報にアクセスする

適切な情報を探す・発信する

災害をはじめとした緊急時には、必要な情報に混じってデマやフェイクニュース、また過激な言説が多く拡散される。被災者を装って助けを求める誤情報や、別の災害時の写真や動画が使われた情報には十分に注意したい。

また、自治体など信頼できる場所が出している情報でも、被災地の状況は日々移り変わっていくため、情報が「いつ」発信されたのかを必ず確認してから行動を取るようにしたい。

ボランティアは石川県の災害ボランティアへの事前登録を行う

2024年1月11日現在、石川県は個人によるボランティアの受け入れや物資の募集は行っていない。物資を送りたいという人は、必ず信頼できる企業や団体を通すか、お金での支援を考えてみると良い。また、ボランティアで現地に足を運びたいという人は、石川県が募集している災害ボランティアへの事前登録を行い、連絡をもらってから動くことを推奨する。

▶︎ 令和6年(2024年)能登半島地震に係る災害ボランティア情報

今すぐに何かできなくても、「いつか能登に行く」と想いを馳せる

石川県能登地域には、有名な観光名所である輪島朝市という日本三大朝市の一つがあり、能登地域を訪れる外国人観光客が最も訪れるスポットでもある。旅の力を信じるトラベルライフスタイルマガジン「Livhub」では、【「いつかきっと輪島朝市に行きます」“変わらぬ人情と笑顔が此処にはある”】と題した、千年を超える歴史のある輪島朝市の情景から、能登に想いを馳せる記事を公開している。

もちろんまずは救命・救助活動、一人一人の心と生活やインフラの回復が第一優先だ。状況が落ち着いてからではあるが、被災地へ足を運び、その地域にお金を払うことで支援することもできる。今すぐに何かできなくても、「いつか能登に行く」というメッセージをSNSなどで伝えてみてはどうだろうか。

千葉県勝浦市の「かつうら朝市の会」や神奈川県三浦市の「三崎朝市協同組合」などでは、今各地の朝市では輪島朝市を助けようと募金活動が起こり始めている。自分の住む地域の朝市で募金活動が行われていれば、朝市を通して被災地を支援してみるのも良いだろう。

▶︎ 「いつかきっと輪島朝市に行きます」“変わらぬ人情と笑顔が此処にはある”

輪島朝市

Photo by TK Kurikawa on Shutterstock.com

最後に:自分の心身の健康も大切に

最後に、こうした災害時に災害情報などをニュースやSNSでチェックしすぎてしまい、精神的な疲労を知らず知らずのうちに感じている人もいるかもしれない。アクションを起こしている人たちを見て、「自分も何かしなければ」と焦る気持ちを持つ人もいるだろう。そんなときは、自分を責めずに一度情報から離れ、自分の生活に集中したり、周りの人に少し優しくしたりしてみる時間を持つことも大切である。

今回取り上げた取り組みは多くのアクションの中の一部だが、ここから少しでも支援の力が広がっていくことを願う。

IDEAS FOR GOODを運営するハーチ株式会社の別メディアでも能登半島地震の被災地を支援する記事を発信しています。ご興味があれば、以下よりご一読ください。

FacebookTwitter