報道疲れの人へ。良いニュースだけを載せる看板が、イギリスに出現

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最近、ニュースを見ると疲れる。そんな人も多いのではないだろうか?センセーショナルでネガティブな報道が多く、暗いニュースが人々のメンタルヘルスに影響することもあるといわれている。実際、ロイター・インスティテュートが2022年に発表した調査によると、イギリスでは46%の人がニュースを見るのを避けており、避けている人の大半はニュースが自分を落ち込ませていると答えている。

そんな中、「ニュースで」人々を元気づけようとする取り組みがイギリスの街中で始まった。英メディアPositive Newsが発信する、世界の課題解決に向けた明るいニュースが3,500以上のデジタル広告スクリーンに表示されるのだ。この取り組みは、屋外広告管理会社Clear Channel UKとの提携によって実現した。これにより元気の出るニュースの見出しが、街中にある広告を通して、イギリス全土の人々に届くことになる。

イングランドの埋立地跡地が太陽光発電所に / Image via Positive News

デヴォン沿岸の島で海鳥の数が急増、保護に成功 / Image via Positive News

デジタル広告スクリーンには、同メディアが厳選したイギリス国内のポジティブなニュースの見出しが表示される予定だ。トピックはマスメディアやSNSでは目にすることが少ないかもしれないが、前向きな内容ばかりだ。少しずつであっても、イギリスの組織、コミュニティ、個人がより良い世界のために取り組んでいることを紹介する。

Positive Newsのショーン・ウッド最高経営責任者(CEO)は、「明るい見出しが大きく取り上げられると、悲観的なことばかりではなく、信じられないほど多くのポジティブな変化も起きていることに、人々が気づけるようになります」とプレスリリースでコメントしている。

屋外広告管理会社であるClear Channelがイギリスでメディアと提携するのは初めてだ。同社は”Platfrom for Good/善のためのプラットフォーム”を事業テーマに掲げ、公共の空間をよりポジティブなものにし、地域社会に還元する取り組みをしている。今回のPositive Newsとの提携のほか、2023年には50以上のチャリティ団体に総額2,000万ポンド(約37億円)相当の広告枠を提供している。

屋外広告など無意識のうちにも目に入っている情報がポジティブな内容になることで、街中を歩いていても、少し明るい気分になれるかもしれない。広告のクリエイティブなアイデアが人々の興味関心をひきつけるからこそ、難しいトピックや、気づいていなかった視点を与えることができる。

また、メディアも人々に対して大きな影響力を持つ。近年はセンセーショナルな事実のみを伝える報道を改め、現実の社会課題を建設的に解決(ソリューション)する役割を担う、ソリューションジャーナリズムが新たに台頭している。ソリューションジャーナリズムは、一般の人々や企業、自治体、NPOなどに、解決へ向けた新たな行動を呼びかける。そして、政策などに結びつけることによって、現実に社会や制度を動かそうとするのが特徴だ。

大きな影響力を持つ広告やメディアだからこそ、世界をより良くするために使われるべきだ。Positive NewsとClear Channel UKは、その一例を示したと言えるだろう。

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【参照サイト】Positive news headlines to be shared with millions in the UK via outdoor screens
【参照サイト】Clear Channel/ A Platform for Good

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