【5/17〜26開催】「産む」から「死ぬ」まで、生きるをめぐる10日間『むぬフェス』

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うまれ、しんで、どこへいく?

2040年に向けて多死社会が進展し、気候変動や災害をはじめ不安がとりまく現代。誰もがどう生きるのかに迷っている。そんな時代に、生のはじまりである「産む」ことから、おわりである「死ぬ」ことまで、「生きる」に想いをめぐらせてみては、どうだろう。

「産む」も「死ぬ」もとても個人な営みだ。どう産まれ、育ち、だれと過ごし、死んでいくか。そのなかで、産めない苦しみ、子育ての重圧、大切な人を亡くした痛み、死へのおそれに直面する。

同時に「産む」も「死ぬ」も一人で完結しえない。かつてはコミュニティで子どもを育て、死者を看取った。いまや、分かちあう機会もなく、日々から遠ざけられている。

──だからこそ、わたしなりに「産む」から「死ぬ」まで、生きるをめぐる場が必要だ。

そんな問いをもとに2024年5月17日(金)から26日(日)まで、大阪・應典院主催のもと、「あらゆるいのちをケアする想像力を育む」をテーマに実験的な活動をつくるクリエイティブ・スタジオDeep Care Lab(ディープケア・ラボ)と、一般社団法人公共とデザインが協働で『むぬフェス』〜「産む」から「死ぬ」まで、生きることをめぐる10日間のイベント〜を開催する。

2023年3月18日から23日まで、東京・渋谷のOZ Studioで開催され、センシティブなテーマを扱いながらも好評を博した展覧会「産まみ(む)めも」。今回、大阪・應典院で開催予定の『むぬフェス』のコンテンツとして、大幅なアップデートをふまえ巡回展を行う。「産まみ(む)めも」では、産まない、産みたい、産む、産めない、産もうかといった、複雑な「産む」という行為へのさまざまな向き合い方を問いかけた。今回の巡回展では、「死ぬ」というテーマにも焦点を当て、人生の始まりから終わりまでを包括する対話セッションやワークショップを通じて、より深く、より広く探求する。

むぬフェス

Image via 公共とデザイン

また、今回イベントの主催であり会場となる應典院は、リニューアルを機にDeep Care Labと協働で新コンセプト「あそびの精舎」構想を立ち上げたお寺でもある。子どもからお年寄り、また祖先や未来の世代が集い、ともに「あそぶ」ことで、いのち(Life)のつながりに気づき、今の生き方(Life)を見つめ、生まれ死ぬまでの、暮らし(Life)をともに支えていく。仏教思想や文化を背景として、日常の居場所から、ケアと教育、子どもと家族、老いや死生観といったテーマでのマルチセクター協働につながるリビングラボへの展開までを構想している。今回のイベントは、この「あそびの精舎」構想の具体化企画第一弾となる。

血縁に縛られない家族のかたちが広がりはじめ、新たな弔いの仕方や、SNSデータから死者を再現できるAI時代に、一人ひとりの生き方を問い、これからの社会を想像するきっかけになるだろう。

一人ひとりが「産む」の物語を紡ぎなおすきっかけに。「産まみ(む)めも」

2023年度に東京で開催し、今回『むぬフェス』のコンテンツとして再びアップデートされる展示『産まみ(む)めも』。産まない・産めない・産む・産みたい・産もうか……「産む」の物語を問い直す本展示は、「多様なわたしたちによる公共」へ向け、一人ひとりの表現と対話を通じた共創を促す環境づくりをする公共とデザインによって企画されたものだ。

2023年3月18日〜23日には、渋谷OZ Studioにて、不妊治療者、特別養子縁組の養親、同性カップルをはじめ多様な「産む」の当事者および5組の作家とともに、リサーチとワークショップを実施した。「産む」や「育てる」にもやもやしている大学生から子連れの家族、医師、官公庁の職員、社会的な活動に携わっている方まで、様々なプレイヤーや当事者が訪れ、「産む」にまつわる複数の可能性に想いを馳せ、言葉を交わし、一人ひとりが「産む」の物語を紡ぎなおすきっかけとなった。

参加作家:井上 裕加里(美術家)/ 碓井 ゆい(美術作家) / GROUP 大村 高広・齋藤 直紀(建築家)/ TAK STUDIO 土田 恭平・TSUBASA KOSHIDE(デザイナー)/ ふしぎデザイン 秋山 慶太(プロダクトデザイナー)

2023年に東京で行われた『産まみ(む)めも』展の様子

2023年に東京で行われた『産まみ(む)めも』展の様子 photo by Omura Takahiro

東京で行われた『産まみ(む)めも』展の来場者からは、こんな声が上がっている。

「子どもを産むこと・育てることに対するいろんな視座が交差する豊かな問いの空間だった」
「出産と子育て、自分ごととして深く考えてみるいい機会になった」
「産みたいとか産めるとか、産まないとか産みたくないとか。 こんなに深く自分の中が醸成されるような、何かが培養されるよう感覚になるとは思わなかった」
「子どもが産まれてとても幸せだと感じていたけれど、『子どもを産む=幸せ、産まない=不幸せ』ではないことをこの展示を見て改めて痛感させられました」
「家族やパートナー近しい人とこそ、こういったことを考えて対話できるといいなと思いました」

2023年に東京で行われた『産まみ(む)めも』展の様子

2023年に東京で行われた『産まみ(む)めも』展の様子

トークセッション・ワークショップ(一部)

今回のイベントでは、『産まみ(む)めも』展に加え、トークセッション・ワークショップも開催される。

いろんな「産む」の立場の即興演劇ワークショップ・産maginatinon

不妊治療に直面したり、特別養子縁組を検討したりするカップルや、医師とのやりとりを、簡単な脚本に沿って演じてみる。演劇ツールキット「産magination」を用いるので、演劇初心者でも問題ない。簡単に演じてみて、感じたもやもやを対話することに重きをおいたワークショップだ。

参加費:無料(要事前申し込み

産magination

産magination

生きづらさのもやもや対話:親としてのわたし、子としてのわたし

「生まれてこない方がよかった」という声や「親ガチャ」という言葉は、子どもとして、産み落とされた人々の生きづらさの現れかもしれない。一方、そんな子を育てる「親」もまた、多くの苦悩を抱えている。生きづらさを軸に、親目線・子目線・私目線を行き来しながら、参加者全員でもやもやを分かちあう対話の時間だ。

ゲスト:貴戸理恵氏(関西学院大学准教授)
参加費:1dayチケットをお申し込みください。

漫画や小説から、死と生について考えるワークショップ

自分の死生観に影響を及ぼした小説や漫画などの作品を互いに紹介し合い、それについて参加者同士で語り合うことで、死生観という重たい話題について気楽に向き合う場。シリアスになることだけが、死や生との向き合い方ではないはずだ。

ゲスト:谷川嘉浩氏(哲学者)
参加費:700円(要事前申し込み

子育てから看取りまで、ともにある地域とコモンズ

子育て・介護・看取りは、昔コミュニティの中にあった。都市では、それが個人化したゆえに、負担を抱える人も多いはず。今、どうしたら都市や地域において、生や死を分かちあう共有地としてのコモンズを育めるのだろうか。地域医療の従事者や、メメント・モリを掲げた活動の実践者とともに深める。

ゲスト:
・占部まり氏(内科医 / 日本メメント・モリ協会代表理事)
・孫大輔氏(鳥取大学医学部地域医療学講座 准教授)
参加費:1dayチケットをお申し込みください

他にも「産む」から「死ぬ」まで、生きるをめぐる様々なトークセッションとワークショップを企画(詳細はホームページにて)。

タイムテーブル

ゲスト一覧

ゲスト一覧 Image via 一般社団法人公共とデザイン

イベント概要

  • 開催日時:2024年5月17日(金)〜26日(日) 平日:12:00〜20:00/休日:10:00-17:30(最終日のみ10:00〜15:00)
  • 開催場所:應典院 (大阪府大阪市天王寺区下寺町1丁目1-27)
  • 参加費用:無料
  • 参加方法:申し込みリンク(トークセッション・ワークショップのみ ※『産まみ(む)めも』展示鑑賞のみの場合はチケット不要。)

【参照サイト】むぬフェス
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