足のサイズは朝夕で1センチ違う?“伸び縮みする”シューズがお悩み解決

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サイズを簡単に変更することができる「成長する服・靴」が広がっている。プリーツ生地によって伸縮する子ども服や、ワンピースの脇を調整できるリボンがついた制服、トップにある留め具をずらすことでソールの長さが変わる子ども用シューズなど、長く使い続けられる多様な工夫が実践されてきた。

その多くが、身体の成長スピードが著しい子どもを対象にしたものであった。一方で、服や靴のサイズが合わなくなり買い換えるのは大人も同様だ。特に足の大きさは、血液の圧迫度合いなどにより朝と夕方で0.5〜1.0センチの違いがある(※1)。つまり、一日の中でも明らかな違いが出るほど、身体は変化しやすく、その時々の状態によってちょうど良い靴のサイズは変わっていくのだ。

アメリカの小売チェーン・Targetは、そんな大人のサイズの変化にも対応した靴「ÜNOS by Sz」を、デザイナーのD’Wayne Edwards氏と共に開発したことを発表した。ソールにZ型の切れ込みが入っており、アッパーは柔軟性の高い素材であるため、前後左右に伸縮が可能だ。靴の名前は「U Need One Size(あなたには一つのサイズが必要)」の頭文字をとっている。

Image via PCPR

ÜNOS by Szは大人用と子ども用があり、大人用は1サイズ分、子ども用は半サイズ分の調整が効く。これにより、それぞれ通常より少ない8サイズに絞った展開が可能になったそうだ。大人用は22.5センチから31.5センチ、子ども用は14.5センチから22センチの中から選択できる。

靴の主な素材は、ポリエステルやビスコース、ラバー、エチレン酢酸ビニルなどで、洗濯機による洗浄が可能とのことだ。

お気に入りのシューズを長く履けること。それは、環境負荷においても大きなインパクトを持つだろう。現在、靴は複合素材であることが多いためリサイクルが難しく、世界の廃棄量は年間2,000トンにおよぶとも言われている(※2)。足のサイズが変わっても靴のソールを調整し、捨てることなく履き続けられたら、この廃棄を減らすことに繋がるのだ。

デザイナーのD’Wayne Edwards氏は、IDEAS FOR GOODの取材に対しこのようにコメントした。

「探求の結果、“Z”の文字ならば、完璧にバランスを持ちながら前方、左右、後方に伸びることを可能であることを発見しました。

デザインにあたり一番に考慮したのは、生産する靴の数を減らし、無駄な靴を生まないことでした。靴の生産量が減れば、CO2排出量も減らすことができるのです」

商品は、どのような素材・デザインにするかによって、使用可能な年数や使用後の行く末が大幅に左右される。ÜNOS by Szは、サイズの柔軟性を加えるにあたり、シューズのデザイン性を損なわず、むしろ切れ目によってソール内部の赤色が見えるというブランドならではの工夫を施した。このようにデザインを生み出す上での制限が、今後もクリエイティブな商品を世に送り出していくのだろう。

※1 靴選びのポイント|アサヒシューズ
※2 「95%が捨てられる」シューズのリサイクルで業界が変わる?|NHK

【参照サイト】Step into the Future with ÜNOS by Sz, Target’s Latest Partnership with Renowned Footwear Designer Dr. D’Wayne Edwards|Target
【参照サイト】UNOS BY SZ|Target
【参照サイト】Target’s new expandable sneakers do away with pinched toes for good|Fast Company
【参照サイト】Sneakers that grow: ÜNOS by Sz shoes expand when users’ feet size and shape enlarge|designboom
【参照サイト】Target and Dr D;Wayne Edwards Introduce the Unique ÜNOS by Sz|TrendHunter
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