スタバ、コーヒーかすリサイクルを1,000店舗に拡大。年間約4千トンの廃棄削減めざす

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実は日本は、世界的な「コーヒー消費国」の一つ。年間約40万トンが消費され、アメリカやブラジルに次ぎ、ドイツやインドネシアと並んで多くのコーヒーを消費している(※1)。その裏側で、水分を含んだコーヒーかす約80万トンの廃棄が課題となっている(※2, 3)。廃棄量の多さに加えて、コーヒーかすは焼却処分されることも多く(※4)、その水分が焼却のためのエネルギーを増やすとされている

そんなコーヒーかすを、資源として社会に還元する取り組みが世界各地で模索されてきた。バスの燃料にしたり、コーヒーカップにしたり、堆肥にしたりと多岐にわたる。

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社(以下、スターバックス)でも、社内の食品廃棄物の7割を占めるコーヒーかすをリサイクルする取り組みが2014年から行われてきた。それから11年を経た2025年6月、同社はこのリサイクルを行う店舗を、全国800店舗から1,000店舗へ拡大すると発表した。国内2,011店舗(2025年3月末時点)のうち、ついに約半数の店舗がリサイクルに参加することになったのだ。

今回の拡大で、関西にある200店舗が新たに参加。2024年に600店舗から800店舗へ増加したのに続き、着々と取り組みが拡大している。これにより、1店舗1日あたり平均約11キロのコーヒーかすが出ていることから、年間約4,000トンの廃棄削減(2024年の削減量から500トン追加)に繋がる見込みだ。

リサイクルの方法は、主に4つ。1つ目は、加工したコーヒーかすを堆肥や牛の飼料にして、その後育った作物や牛乳を店舗で使用する取り組み。2つ目は分別・脱水・腐敗防止処理をしたコーヒーかすの酪農家への有価提供。3つ目は店舗近くの学校や農家への提供。そして4つ目は、資源循環サービスを提供する廃棄物業者との協働だ。

実際にコーヒーかすを畑で使っているという、千葉県流山市・えか自然農場の記事がスターバックスのウェブサイトで公開されている。同農場の小野内裕治さんは「コーヒーかすが肥料になるのではないか」と探求する中で、逆に雑草抑制の効果に気づき、企業に声をかける中でスターバックスとの連携が生まれたそうだ。

2030年までに、全店舗でのコーヒーかすリサイクルを目指すスターバックス。現状のペースで毎年200店舗ずつ拡大し続けるとしたら、5年で残りの1,000店舗もリサイクル実施に至る道筋はもう見えているかもしれない。

※1 世界の国別消費量|全日本コーヒー協会
※2 もったいない!をカタチに【2】コーヒーかす|アサヒグループホールディングス
※3 コーヒーにみる 身近な資源循環|株式会社サティスファクトリー
※4 コーヒー粕の農業利用|神奈川県

【参照サイト】年間約4,000㌧の廃棄物削減へ、コーヒーかすリサイクル店舗が全国約1,000店舗へ拡大 2030年の全店リサイクルを目指し、地域コミュニティとの共創から生まれたリサイクルの取り組みも促進|スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
【参照サイト】コーヒー豆かすのリサイクル、6月末から計約800店舗へ拡大 スターバックス全体で年間約3,500㌧の廃棄物削減を見込む 「リソースポジティブ」実現へ、2030年までに全店舗でのリサイクルを目指す|スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
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