「環境のため」は当たり前。スタバのコーヒー豆リサイクルの先にあるのは?

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いま、スターバックスコーヒージャパン株式会社(以下、スターバックス)が日本発の取り組みとしてなにをしているか知っているだろうか?それは、日本限定タンブラーでも、さくらフラペチーノの販売でもない。コーヒーの廃棄物である豆かすを利用したリサイクルプロジェクトだ。

スタバの次世代取り組み

スターバックスから出る食品廃棄物で一番多いのは、コーヒーの豆かすである。1店舗あたり、1日に16kgほど廃棄されるという。そこで約6年前、豆かすをリサイクルするプロジェクトをスタートさせた。

今回、サプライチェーン本部でこのプロジェクトを担当している普川玲さんにお話をうかがった。

普川玲さん

スターバックスコーヒージャパン株式会社の普川さん

このプロジェクトが開始した背景にはふたつの理由がある。ひとつは、世界の食料援助量より日本の食品ロスのほうが多いという環境的側面、もうひとつは、食品廃棄物を有効利用するための食品リサイクル法で、平成31年度までに外食産業は食料廃棄の50%をリサイクルする目標が定められたという社会的な側面からだ。

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日本発のコーヒー豆かすリサイクルとは?

豆かすリサイクルのプロセスは以下のとおり。

まずは、関東の一部店舗で出たコーヒー豆かすの水を切る。そのあと袋に入れ、カビ防止のためにお酢をかける。そして密封してトラックでチルドセンターに運び、リサイクル施設でふるいにかける。そこでほかの副資材と混ぜ、3週間ほど寝かせると飼料が完成する。関西の一部店舗から出たコーヒー豆かすも同様に水を切り、袋に入れ防腐対策をし、運搬されてリサイクル施設でたい肥にする。

それを酪農家さんの牛のエサに5%含めたり、農家さんの野菜のたい肥として使用する。豆かす入りのエサで育った牛の牛乳をスターバックスのコーヒーに使用したり、豆かすたい肥で育てられた野菜をサンドウィッチに使うなど、循環システムを体現している

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コーヒー豆かすリサイクルの流れ

なんと牛はコーヒーの匂いが嫌い!?

ここまで聞くと、このプロジェクトは順調に進んできたように見える。しかし、普川さんによると実は大きな失敗談があったという。それは、なんと牛はコーヒーの焙煎した香りが苦手だったのだ。そのためはじめは、コーヒー豆かす入りのエサにはそっぽを向いていたそうだ。

しかし、周りの人にこの話をしているうちに、意外なところで協力者を発見した。それは、コンタクト製造会社のメニコンである。メニコンはコンタクト洗浄液に使う酵素の研究をするなかで得た知見から、コーヒー豆を乳酸菌で発酵させることで日持ちさせ、甘酸っぱい香りにする技術を提案してくれた。これは乾草にも使われている技術だという。まさに、異業種間のコラボレーションが生まれた瞬間だ。

スタバの次世代取り組み

普川さんによると、この豆かすプロジェクトと同時に、社内の環境教育もはじまったという。「最初は全員がコーヒー豆プロジェクトに賛成ではなかったかもしれないが、環境教育のおかげでスタッフの間でも環境への意識が芽生えてきたことを感じる」という。

さらに、豆かすを飼料やたい肥以外にも活用する次のアイデアもどんどん生まれているという。たとえば、豆かすを活用したトレーや店舗の内装材も作られている。

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豆かすを活用したトレー

スタバの次世代取り組み

豆かすを活用した店舗の内装材

「環境にいい」以上に得られたものは、「つながり」だった

このプロジェクトは、6月におこなわれた環境省主催のグッドライフアワードのキックオフイベントにおいて、エコでソーシャルな取り組みのひとつとして紹介された。「グッドライフアワード」は、環境にやさしい社会の実現を目指し、日本各地で実践されている「環境と社会によい暮らし」に関わる活動や取り組みを環境大臣賞として表彰するものだ。

スタバの次世代取り組み

スターバックスジャパン株式会社と提携している農家さん

今回6回目となるグッドライフアワード。実行委員のひとりである環境省の総合環境政策統括官である中井徳太郎氏が強調していたのは、「パートナーシップ」、「つながり」というキーワードだ。国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)のひとつにも、「パートナーシップの活性化」が定められている。

「いろんな立場の人が問題意識を共有してコラボレーションすることが大事になってくる。エコでソーシャルな取り組みを表彰することで、グッドライフを実践する人たちがつながって広がっていくことを目指したい」と、中井氏は今回の意気込みを語ってくれた。

スタバの次世代取り組み

スターバックスの例も、異業種であるメニコンや、ステークホルダーである酪農家や農家との「パートナーシップ」、「つながり」から生まれた取り組みである。実際、普川さんも、「はじめて酪農家さんと会って生産現場を見学したり、このプロジェクトをとおして循環型社会を目指すたくさんの人と出会いました」と語ってくれた。

このプロジェクトから得られたものは、地球環境にやさしいリサイクルの仕組みだけでなく、同じ志を抱く仲間との出会いだったのではないか。

今年度のグッドライフアワード応募受付中

企業、学校、NPO、自治体、地域コミュニティ、個人まで、だれでも応募でき、環境大臣賞受賞のチャンスも。応募方法など詳しくはこちら(9月24日(月)締切)。

【参照サイト】コーヒー豆かすリサイクルループ
【参照サイト】Good Life Conference
【参照サイト】環境省グッドライフアワード

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