【11/8〜開催】「おわりのケア展」対話からひらく、モノ・いきもの・AI/ロボットの“死と供養”

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「ケアとしての供養を通じて、おわりに向きあう」

おわり──それは、いつか必ず訪れるもの。あなたは最近、どんな「おわり」を迎えただろうか。

身近な人やペットの死、長年使ってきた愛用品の破損、あるいは文化の消滅。現代は、そのさまざまな「おわり」を見過ごしてしまいがちな時代である。忙しい日常の中で“おわり”にしばしば蓋をしてしまうのだ。すると、気づかぬうちに心は痛みを抱え込む。だからこそ、ケアが必要だ。

そこで注目されるのが、日本に古くから根づく「供養」の風習である。供養は人だけでなく、道具や草木、そして今ではAIやロボットにも心を寄せる独特な文化だ。仏教に伝わる「会者定離(出会ったものは必ず別れる)」という思想に通じるように、供養はおわりをただ受け入れるだけではなく、新たな関係を結び直し、前へ進むための心のケアともいえる。

さらにいま、経済社会においても「ネイチャーポジティブ」や「サーキュラーエコノミー」といった方向転換が求められている。これは単なる環境政策やビジネス的なイノベーションではなく、根底にある生命観や自然観からの再想像にほかならない。産業や政治のトレンドの変化は、宗教儀礼にとどまらない「日常習慣としての供養」を再発見する契機ともなりうる。加えて、VRやAIが伴侶種となり、記憶や関係性がデータを介して存続する時代が到来する中で、弔いや供養はどのようなかたちを取りうるのだろうか。

こうした問題意識のもとに企画されたのが、2025年11月8日〜16日まで開催される、大阪・天王寺の應典院が主催する「おわりのケア展 ─ モノ・いきもの・AI/ロボットの死と供養」である。應典院は1614年創建、1997年の再建以降〈学び・癒し・楽しみ〉をテーマに地域と共に活動してきた寺院で、2024年には「あそびの精舎」構想を掲げて再始動した。子どもから高齢者、そして未来世代まで、多様な存在がともに暮らしを支え合う「ライフコモンズ」の拠点を目指している。

本展の企画運営を担うのは、一般社団法人Deep Care Lab。伝統と未来、都市と自然、人と生きものをつなぎ、フィールドリサーチや社会実験を通して「ケアと想像力のインフラ」をつくるリサーチスタジオだ。

「おわりのケア展」は、両者の協働によるリサーチプロジェクト『現代供養考』の一環として実施される。「モノや日用品」「いきもの」「ロボット/AI」という3つの切り口から約4ヶ月間にわたり探索と実験を行い、その断片と途上をひらく。会場にはフィールドリサーチの記録、参加型ワークショップ、参考書籍やオブジェクトが並び、来場者とともに“おわりのケア”を考える対話の場が生まれる。

こんな方におすすめ

  • 「おわり」や「死/死生観」を日常の視点から考えてみたい方
  • 仏教思想や供養の文化に関心がある方
  • 自然共生に関心がある方
  • モノと循環、サーキュラーデザインの関係性を見直したい方
  • AI・ロボットなど新しい存在との「別れ」に興味を持っている方
  • ケアやグリーフケア、ウェルビーイングに関わる活動をしている方
  • アートやデザインを通じて社会的テーマを探究してみたい方

「おわりのケア展」開催概要

会期日程:11月8日(土)〜16(日) 12:00〜17:00(土日は11:00〜17:00)
会場:應典院 (大阪府大阪市天王寺区下寺町1丁目1-27 google map
※展示・イベントはすべて2Fです
※お子様連れでの来場も歓迎です。エレベーターもございます。

【注意】チケットについて:展示および以下11/8のセッションを除く関連イベントは無料。すべてPeatixからのチケット申し込みが必要。当日の申し込みも可能。※キャンセルによる返金は、セッション当日の3日前まで。

関連イベント

11月8日(土) 13:30〜15:00『人間以上の死者の弔い・供養、そしてケア』

『RITA MAGAZINE2 死者とテクノロジー』も編著した中島岳志さんの最近の関心をもとに、本展示の主題である供養や弔いを人間以上(more-than-human)の死者への”ケア”の社会実践を語る。

  • ゲスト: 中島岳志(政治学者)・川地真史(一般社団法人Deep Care Lab代表)
  • モデレーター:田幡祐斤(Deep Care Labパートナー / 株式会社MIMIGURI)
  • 申込:Peatixからチケットを購入(1,000円)

11月8日(土) 16:00〜17:00『おわりのケアのデザインリサーチの振り返り』

本リサーチに関わったプロジェクトメンバーが、各々の関心やリサーチのプロセスを振り返り、発見をシェアしながら「おわりのケア」としての供養について語りあう。加えて、それを元に、浄土宗僧侶の秋田光軌さんによる、仏教の視点から供養を紐解く。

ゲスト:

    • 秋田光軌(僧侶)・持丸可奈子 / 西田亮太郎 / 井出明日佳 (本プロジェクトメンバー)

モデレーター:

    • 川地真史(一般社団法人Deep Care Lab代表)

申込:

    不要

11月10日(月) 13:00〜14:00『ミナミ/供養のディープな風景を訪ねる』

大阪ミナミの千日前の只中にある三津寺松林庵墓地には、線香の煙が絶えない。俗界にある供養空間を手がかりに、現代人の供養の風景について加賀住職に聞く。

  • ゲスト:加賀 俊裕(三津寺住職)
  • 会場:2F気づきの広場
  • 申込:Peatixからチケット申込(無料)

11月12日(水) 13:00〜14:00『供養とスピリチュアルケアが願うもの』

宗教的供養とスピリチュアルケアは同じ地平にあるのだろうか。宗教と非宗教のケアは何が異なり、どう響き合うのか。應典院でケアプログラムを担当する宮川氏に聞く。

  • ゲスト:宮川栄美子(看護師・臨床スピリチュアルケア師)
  • 会場:2F気づきの広場
  • 申込:Peatixからチケット申込(無料)

11月15日(土) 13:00〜14:00『お墓供養なんて意味はない、は本当か。』

増加する墓じまいや仏壇じまい……若い世代の供養離れが当然のように言われるが、お墓や葬儀の相談を8,000件受けてきた30代のコンシェルジュ池邊氏に聞く。

  • ゲスト:池邊文香(エンディング・コンシェルジュ)
  • 会場:2F気づきの広場
  • 申込:Peatixからチケット申込(無料)

11月16日(日) 13:30〜14:45 『モノと人との別れ方の作法 ― モノ供養×サーキュラーエコノミーの可能性』

  • ゲスト:ソン・ヨンア(法政大学 デザイン工学部教授)
  • 会場:2F気づきの広場
  • 申込:Peatixからチケット申込(無料)

11月16日(日) 15:30-17:00『お寺リビングラボの挑戦 ― 暮らし・いのちを見つめ直し、社会へひらく』

  • ゲスト:木村篤信(地域創生Coデザイン研究所⁩)、日本リビングラボネットワーク代表理事)
  • 会場:2F気づきの広場
  • 申込:Peatixからチケット申込(無料)

※11/16は應典院で カフェフィロ20周年の集い〜「社会の中で生きる哲学」の現在地〜 も同時開催の予定です!

【問い合わせ】
一般社団法人Deep Care Labまで
mail:info@deepcarelab.org

【参照サイト】おわりのケア展 -モノ・いきもの・AI/ロボットの死と供養-
【参照サイト】モノ・いきもの・AI/ロボットの弔いから「おわりのケア」を考える
【参照サイト】多種や死者へのケアとしての供養をかんがえる。リサーチプロジェクト『現代供養考』

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