【11/21-22】脱成長、ウェルビーイング経済──資本主義の未来を問う2日間。東京大学『Tokyo Forum 2025』開催

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「成長と競争だけでは、未来を守れないのではないか」

その直感を、いま多くの人が共有しはじめている。気候危機、格差、知へのアクセスの不平等──政治や経済、文化、環境といった世界の基盤がいま、大きく揺れ動いている。既存の知識や常識だけでは、この変化の速度と複雑さに追いつけない。必要なのは、国や分野を越えて率直に語り合い、未来をともに構想するための場だ。

そのために生まれたのが、「東京フォーラム(Tokyo Forum)」である。東京大学が韓国の崔鍾賢学術院(Chey Institute for Advanced Studies)とともに2019年より本フォーラムを開催し、東アジアを起点に国際社会へ英語で発信する、希少で重要な対話の場として発展してきた。「Shaping the Future(未来を形づくる)」を継続テーマに掲げ、これまで「グローバルコモンズ」「科学と人の心」「哲学と科学の対話」「社会的分断とデジタル革新」「デザイン」など、時代の変化を照らすテーマを重ねてきた。

そして2025年、フォーラムは新たな焦点を掲げる。

今年のテーマは、「Rethinking Capitalism: Varieties, Contradictions, and Futures 資本主義を問い直す:多様性・矛盾・そして未来へ」。資本主義がもたらした繁栄の裏で、社会の分断と地球の限界が同時に露わになるいま、11月21日(金)・22日(土)東京大学・安田講堂に、世界を代表する約30名の識者が集う。

「資本主義と民主主義」「資本主義と大学」「資本主義と持続可能な未来」「資本主義と宇宙」──4つのパネルディスカッションを軸に、資本主義を改めて捉えなおす機会となる。

資本主義は、イノベーションと豊かさをもたらす一方で、格差や排除をも生み出してきた。いま私たちが問うべきは、「終わらせるか/続けるか」ではない。人間の尊厳と地球の限界に適う形へ、どう再設計するかである。

イベントの見どころ

  • 「資本主義と持続可能な未来」セッションでは、脱成長の第一人者であるヨルゴス・カリス教授がオンライン登壇。キャサリン・トレベック氏や中野佳裕氏とともに、ウェルビーイング経済が描く「その先の社会」を語る。
  • 「資本主義と大学」セッションには、『Z世代のアメリカ』の著者である同志社大学の三牧聖子教授が登壇。学問と資本の関係を見直し、教育の公共性を問う。
  • 現役の東大生と韓国の学生によるユースセッションでは、「次の社会をどうデザインするか」をテーマに、若い世代の視点から資本主義を再構築するアイデアを発表。
  • 高校生向け特別授業「小さな一歩が、宇宙と未来を変える」も。宇宙資源研究の最前線を体験し、未来への探究心を育む。

主なセッションのご紹介

Keynote Addresses|基調講演

  • マリアンヌ・ベルトラン氏(シカゴ大学教授/ジェンダー経済学)
  • 小島 武仁氏(東京大学教授/マーケットデザイン)
  • キム・ビョンヨン氏(ソウル大学校教授/東アジア経済)

Panel Discussion 1|資本主義と民主主義

民主主義なき繁栄 「近代化論」の21世紀的再検討

  • エリカ・フランツ氏(ミシガン州立大学政治学部・准教授)
  • キム・ソンヒョク氏(高麗大学校 公共政策学科・教授)
  • 川中 豪氏(亜細亜大学 国際関係学部・教授)
  • 阿古 智子氏(東京大学大学院総合文化研究科・教授)
  • モデレーター:向山 直佑氏(東京大学未来ビジョン研究センター・准教授)

Panel Discussion 2|資本主義と大学

米国大学の危機、グローバルな高等教育の将来:学問と資本主義の関係を再考する

  • 三牧 聖子氏(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科・教授)
  • リム・メイメイ氏(タイムズ・ハイヤー・エデュケーション・アジア太平洋地域プレジデント)
  • 菅野 暁氏(東京大学・理事)
  • モデレーター:彦谷 貴子氏(東京大学グローバル教育センター・教授)

Panel Discussion 3|資本主義と持続可能な未来

これからの社会変革を編み出す:脱成長とウェルビーイング経済が描く「その先」の社会

  • ヨルゴス・カリス氏(バルセロナ自治大学環境科学技術研究所(ICTA-UAB)・ICREA教授 ※オンライン登壇
  • キャサリン・トレベック氏(ザ・ネクスト・エコノミー・経済変革プログラムディレクター)
  • 中野 佳裕氏(立教大学社会デザイン研究科・特任准教授)
  • モデレーター:石原 広恵氏(東京大学大学院新領域創成科学研究科・准教授)

Panel Discussion 4|資本主義と宇宙

宇宙資源と資本主義:制度・倫理・科学の視点から

  • アンヘル・アブド=マドリード氏(コロラド鉱山大学機械工学科宇宙資源プログラム・ディレクター)
  • エリック・アスフォーグ氏(アリゾナ大学月惑星研究所・教授)
  • 青木 節子氏(千葉工業大学・特別教授)
  • モデレーター:宮本 英昭氏(東京大学宇宙資源連携研究機構・機構長)

▶️セッション一覧はこちら

開催情報

イベント名:Tokyo Forum 2025
日程:2025年11月21日(金)13:00〜・22日(土)11:00〜
会場:東京大学 本郷キャンパス 安田講堂
言語:英語/日本語同時通訳あり
主催:東京大学、崔鍾賢学術院(韓国)
参加費:無料(事前登録制)
▶️ 公式ページはこちら
▶️ 参加登録はこちら(公式)

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