IDEAS FOR GOOD2.0 危機を希望に。読者とともに「新しいメディアのかたち」をつくりたい〜IDEAS FOR GOODはクラウドファンディングに挑戦しています〜
2015年から、社会を「もっと」よくするアイデアを届けてきたIDEAS FOR GOOD。けれど、世界も、メディアのあり方も、この数年で大きく変わりました。私たちもまた「伝える」だけでは届かない時代の中で、迷いながら、探りながら、新しいメディアのかたちを模索しています。完璧ではない。でも、未完成だからこそ、まだできることがある。このメディアを存続させ、次の時代へと手渡していくために──どうか、この挑戦にご参加いただけたら嬉しいです。
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社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン、IDEAS FOR GOODの編集部が選ぶ、今月の「ちょっと心が明るくなる世界のグッドニュース」。前回の記事では、鋭い臭覚で迷子を探す「名探偵犬」リコや、アートなどの文化的な活動が心の疲れに効くことを紹介した。
日々飛び交う悲しいニュースや、不安になる情報、ネガティブな感情ばかりを生む議論に疲れたあなたに。世界では同じくらい良いこともたくさん起こっているという事実に少しのあいだ心を癒し、また明日から動き出そうと思える活力になれば幸いだ。
愛に溢れた世界のグッドニュース5選
01. アオウミガメ、「絶滅危惧種」ではなくなる
長きにわたるウミガメの保護活動により、世界のアオウミガメの個体数が回復しつつある。IUCN(国際自然保護連合)は、絶滅の危機にあった同種をレッドリストで「軽度懸念」に引き下げたと発表した。
個体数は1970年代以降から約28%増加。漁業におけるウミガメに優しい漁法の採用や、地域コミュニティと連携した産卵地の保護・回復活動が功を奏し、危機に瀕した生物の個体数を回復させることを証明した形だ。一方で、鳥類のうち61%が減少傾向にあり、北極のアザラシの個体数も減っているなど、生態系全体として見ると依然として油断はできない状態である。
【参照サイト】Global green turtle population rebounds thanks to conservation efforts
02. 一酸化炭素中毒への解毒剤が開発
火災発生時など、知らず知らずのうちに吸い込んでしまい致命的な状態を引き起こす一酸化炭素(CO)中毒。従来の高圧酸素療法では時間がかかり、命が助かっても脳や心臓に後遺症が残りがちだった。そんな一酸化炭素中毒への有効な解毒剤が登場した。
メリーランド大学医学部(UMSOM)の研究チームが開発した人工タンパク質「RcoM-HBD-CCC」は、静脈内投与することで血液中のCOをスポンジのように吸着し、体外への排出を劇的に加速させる。副作用も少なく、今後の活用が期待される。
【参照サイト】New Protein Therapy Shows Promise as First-Ever Antidote for Carbon Monoxide Poisoning
03. 「産後ってこんな感じ」ありのままの姿を写すロンドンの銅像
イギリス・ロンドンに、産後の母親のリアルな姿を称える高さ2.1メートルのブロンズ像「Mother Vérité(真実の母)」が公開された。授乳でひび割れた乳首に、お腹の出た体型、使い捨ての下着や生活感のあるお団子ヘアといった、これまで公の芸術では避けられてきた細部まで正直に表現している。
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この像が立つセント・メアリーズ病院は、数多くの命が誕生してきた場所として知られている。にもかかわらず、ロンドンにある公共の銅像のうち、女性を描いたものは全体のわずか5%未満であり、その中で出産直後の母親を描いたものは一体もなかった。
だからこそ、歴史的に英雄やリーダーのために使われてきたブロンズの素材を使い、母性を神聖化するでもなく、美化するでもない──むしろ、母であることの複雑さや葛藤を包み込む「リアルな強さ」を可視化した作品をつくったのだ。“ありのままの母”が称えられる社会は、きっと、誰もが弱さも強さも抱えたまま生きられる社会だ。
【参照サイト】New London statue celebrates the unseen strength of mothers
04. 文字通り「人の痛みがわかる」痛み共有の技術をドコモが発表
NTTドコモが、世界で初めて開発した「人間拡張基盤」を活用し、他者の痛みを共有する技術で「CEATEC AWARD 2025」の経済産業大臣賞を受賞した。これまで客観的な評価が難しかった「人の痛み」を脳波で解析し数値化することで、個人差に合わせて最適化された痛覚の共有を可能にしたのだ。
身体的な痛みを理解して治療に役立てるだけでなく、カスタマーハラスメントや誹謗中傷による心理的ダメージの検知・評価など、可視化されにくい領域での相互理解を深め、社会課題の解決に大きく貢献することが期待されている。他者の痛みを“感じられる”社会は、私たちにどんな未来をもたらすのだろう。
【参照サイト】世界初!痛みを共有する「人間拡張基盤」が、CEATEC AWARD 2025にて「経済産業大臣賞」を受賞
05. ゼルダの『ブレワイ』もジブリも、健康に良い
世界的なメンタルヘルスの課題に対し、日本発のコンテンツが「効く」らしい。
『Journal of Medical Internet Research』に新たに掲載された研究によると、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のようなオープンワールドゲームをプレイすることで調査対象となっていた大学院生たちの人生の幸福感が向上し、さらにスタジオジブリ映画(トトロなど)が喚起するノスタルジアと組み合わせると、その幸福感が大幅に強化されることが示された。
これは、ゲームやジブリ作品が単なる娯楽ではなく、探求心や目的意識を育み、精神衛生に不可欠な治療的介入となり得ることを科学的に裏付けたものとなる。

© 2008 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDHDMT


























