ウイルス対策は、環境に優しく、かっこよく。プラスチックをアップサイクルしたコロナ防護服

2020.05.26

Souma Motomi

政治リスクの調査会社であるユーラシア・グループは、世界中の関心が新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)に集中することで、人々の環境問題に対する意識が以前よりも低下すると予測している。確かに、まずはこの事態が収束しないと、環境問題に対して積極的に考える余裕など持てないという人も多いだろう。

しかしそんな中で、環境対策とウイルス対策へ同時にアプローチするソリューションがあることをご紹介したい。

南米コロンビアのスウィムウェアブランド「Maaji」は、環境に優しいサステナブルな素材を使ったウイルス防護服を販売している。この防護服の生地は、回収したプラスチックボトルをアップサイクルして作った特殊な糸で編まれており、防水性がある。

マージ コロナ防護服

image via Maaji

ウイルス防護服と聞くと、大半の人が全身を覆う白か青の医療用の衣服を最初に想像するだろう。しかし、Maajiの販売するウイルス防護服は一般の人向けに作られたもので、同社が販売する他のビーチウェアと同様に海からインスピレーションを得たカラフルで奇抜な柄のプリントが施されたデザインだ。フードには鼻と口を覆うことができる防護マスクが付いており、これならファッションを楽しみながらウイルスから身を守ることができそうだ。

更に、この防護服のシリーズが1着購入されるごとに、PPE(個人用保護具)が極端に不足したコロンビアの病院で、医療従事者や労働者にマスクが寄付される仕組みになっている。

「新型コロナは私たち全員に影響を及ぼしています。Maajiでは、私たちができる限りのことをしたいと考えています。」(Maajiコーポレートサイトより)

マージ コロナ防護服

image via Maaji

Maajiは、2002年に姉妹であるマニュエラ、アマリア・シエラの2人が設立したブランドだ。2人は設立当初から、環境に優しい素材や生地、印刷プロセスを生み出すことに専念してきた。

例えば、印刷プロセスにおける水の大量使用は、アパレル製品の生産プロセスの中で環境負荷を高める一因となっている。木綿のシャツを1着作るのには、約2650リットルの水が必要だ。この問題に対してMaajiは、水の使用量を98%削減するエコデジタル印刷のプロセスを使用し、環境負荷を減らしている。更に、これにより生産プロセス全体でCO2の排出を80%削減している。

また、彼らは10万本の木の植樹をはじめ、コロンビアの主要なビーチのクリーンアップ活動や、多くの地元の活動を支援するなど、ソーシャルグッドな取り組みを行うことにも尽力している。環境と人に優しい取り組みを行うMaajiは、今後ますます消費者に選ばれるブランドになるだろう。

パンデミックは誰のせいでもない。一方で過去の事例を見ると、ウイルスの蔓延は人間の経済活動全体が環境に与える影響により引き起こされているとする見解もある。自分たちの生活や消費活動を見直す必要を迫られている今だからこそ、日々着用する衣服に対しても関心を高め、環境や社会のために何を選択するべきなのか、改めて考え直したい。

【参照サイト】Maaji

この記事を書いたライター

相馬 素美

Souma Motomi

相馬素美(そうま・もとみ)1996年横浜出身。東京音楽大学器楽専攻鍵盤楽器(ピアノ科)、同大学院伴奏研究領域にて研鑽を積む。2020年にハーチ株式会社に入社、IDEAS FOR GOOD、Circular Yokohama等にてサステナビリティに関する幅広いトピックの取材・執筆のほか、企業向けのサステナビリティ研修、展示、地域イベント、ワークショップ等の企画運営を担当。2023年、半年間アイルランドに滞在し、語学研鑽や取材活動を行う。(この人が書いた記事の一覧