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デジタルシティズンシップとは・意味

デジタルシティズンシップ

デジタルシティズンシップとは

デジタルシティズンシップとは、「情報技術の利用における適切で責任ある行動規範」を指す。テクノロジーに関する倫理的・文化的・社会的問題を理解し、責任を持って、かつポジティブにそれを利用するための規範だ。主に教育現場で、生徒が適切に情報テクノロジーを活用するための規範や原則、生徒に教えるべき内容を規定している。

1998年に米国で情報教育の基準が設けられた際にベースとなる考え方が提示され、2007年にはデジタルシティズンシップという言葉で説明されるようになった。日本では似た概念として、情報モラル教育という考え方が浸透している。

デジタルシティズンシップ概念の背景

デジタルシティズンシップ概念が誕生した背景には、1990年代の情報機器やインターネットの普及が挙げられる。そのような社会的背景をもとに1998年に米国で情報教育の規定が設定され、テクノロジーを活用して生徒の学習を効率化したり、認知や学習のスキルを向上させることが求められたのが、教育現場での情報教育規程の誕生のきっかけとされている。

2000年代には、学校現場での情報機器の不適切な利用の防止のために守るべき項目の1つにデジタルシティズンシップが挙げられるようになり、情報教育の規定に初めてデジタルシティズンシップが記載されるようになった。1990年代に重視された、情報機器の操作方法や教育での活用にとどまらず、テクノロジーの法的・倫理的・社会的な側面が初めて強調されている。

さらに2016年からは、ソーシャルメディアの広がりを受けて、安全で倫理的な利用やプライバシーの保護を前提とした規定が設けられている。現在ではデジタルシティズンシップは、適切かつ責任があり権利として認められるべきデジタル活用に関する9つの項目が規定されている。

アクセス

誰もがデジタル活用できるわけではないという意識

コマース

オンライン上での売買に対する適切な知識

コミュニケーション・コラボレーション

オンライン上での情報交換における利点と欠点

エチケット

オンライン上の情報に対する責任ある行為・行動

フルーエンシー

情報に対する適切な判断と活用

健康と福祉

健康的なデジタル機器の使用

オンライン上での違反行為・行動への意識

権利と責任

デジタルに関わる権利の適切な享受

セキュリティ

秘密にすべき情報に対する適切な保管

また2017年4月には米国のワシントン州でデジタルシティズンシップ法が制定された。同法ではデジタルシティズンシップがメディアリテラシーに関する規範も含むとしており、今後も変化が見込まれるインターネット環境に対応する形への変化がみられる。

日本の情報教育との違い

ネットいじめが問題視されていたり、不適切なネット利用が学校外でも行われているなど、子ども達の抱える課題は米国と日本で大きくは変わらない。この問題に対する両国のアプローチの最大の違いは、デジタルシティズンシップでは情報機器の利用を制限しても問題解決につながらないという考えを前提としている点だろう。

デジタルシティズンシップは定まった行動規範やルールを教えて徹底するのではなく、行動の善悪を自分で判断できる力を身につけさせることを目的とし、その目的達成のために教育者や教育に関わる人が取り組むべき枠組みを規定している点で、日本の情報モラル教育とは大きな違いがみられる。

今後の展望

子どものインターネット利用をめぐる状況は、ネットいじめ、フェイクニュース、有害情報や画像被害など様々な課題が存在している。そのような課題は、オンラインサービスやデジタル機器の利用方法にとどまらず、メディアリテラシーのような能力やインターネットセーフティといった環境面など、様々な要因が存在する。

インターネット環境では子どもが被害にあうだけでなく加害者になる可能性も大きい。利用のルールや規制だけでなく、判断や自律に重きを置くデジタルシティズンシップの考え方と枠組みは今後必要性が増していくだろう。

【参照サイト】Digital Citizenship

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