「見えないサービス」でおもてなし。地元の暮らしを提供するホテル「Lokal」

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ホテルに滞在中、なんだか窮屈に感じたことはないだろうか。そっとしておいてほしいのに、到着するやいなや、ひったくるようにしてスーツケースを部屋まで運ぼうとする、チップ狙いの係員。係員がひっきりなしに行き来して、いつも慌ただしいロビー。とても清潔だが無機質で、なんだか落ち着かないベッドルーム。こうした過剰なサービスは、そのおもてなしの心とは裏腹に、ときにゲストの満足度を下げることもある。

そのようなホテルとは真逆の発想で、フロントもなく、チェックインからチェックアウトまで誰とも話さずに過ごせるホテルが、米国フィラデルフィアで3月にオープンする。「Lokal」と名付けられたこのホテルのコンセプトは、「見えないサービス」だ。

旧市街地の中心部に位置する同ホテルは、南北戦争の兵士がかぶる帽子をつくったメーカーもあった歴史的な建物内に6つのスイートルームを備えている。それぞれの部屋にバスルーム、リビング、キッチン、洗濯機、家具が完備されたアパートスタイルで、短期も長期も利用可能だ。ホテル内の空間は歴史を感じさせるもので、それでいて肩肘を張った感じもなく、そこで働いた人々の物語が伝わってきて、フィラデルフィアの街の特有の雰囲気を味わうことができる。

各室内には、地元おすすめの飲食店やお店がきめ細やかに紹介されたガイドブックが置いてある。その内容は、一般的な観光客が教科書通りに訪れるメジャーなスポットではなく、地元のありのままの生活を体験できるものに焦点が絞られているから徹底している。

この完全に「見えないサービス」を導入することで、観光客としてではなく、まるでその街に暮らしているかのような自由と快適さを提供し、街とのユニークなつながりを体験してもらいたいというのが、創設者、ルドマンの想いだ。

サービスがないというのは、日本でも見聞きする。しかし、このホテルの場合は日本のカプセルホテルのようにただサービスがないのとは全く異なる。ゲストに最高の体験をしてもらうために、あえてサービスを「見せない」のだ。フロントデスクはないものの、緊急時のために実際にはスタッフがしっかり待機している。この点で単なるアパートとも違う。

あえて地元の人が暮らしているように滞在してもらうほうが、街の魅力を最大限に味わってもらえる。あれこれと世話を焼いてくれるよりホテルよりも、「見えないこと」こそが最高のおもてなし。そんな哲学を感じる取り組みだ。

【参照記事】New Hotel to Open in Old City in March
【参照サイト】Lokal Hotel