誰も一人では勝てない。2024年パリ五輪に提案された「シェアできるメダル」

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日本では現在2020年の東京オリンピック開催に向けて様々な準備が進められているが、既に2024年のオリンピックに向けての試みもスタートしている。今回紹介するのは、2024年の開催地に立候補しているフランスのデザイナーが手がけたユニークなメダルデザインだ。

ルイ・ゴーストの象徴的な椅子や1992年アルベールビル冬季オリンピックのトーチをデザインしたことでも知られるデザイナーのPhilippe Starck氏は、2024年パリオリンピックのメダルデザイン案として「シェアできるメダル」というコンセプトを作り出した。

このメダルは一見すると従来のメダルとあまり変わらないように見えるが、実は4つに分割することができる。コンセプトの中心にあるのは、「表彰台に立つ人は一人だけの力ではメダルを手に入れることはできない。たった一人では本当に勝つことはできない」という考えだ。もしも勝者が今まで彼らを厚くサポートしてくれた人々とメダルを共有したいと思うのならば、メダルを分割して渡すことができるのだ。

家族や友人、チームメイトやコーチへ感謝の意を示すことはもちろん、共に歩んできたライバルとメダルを共有することでお互いの健闘を讃え合うこともできるだろう。Starck氏の狙いは、メダルが持つ「勝利の概念」を勝者1人だけのものだけではなく、より集団的で包括的なものへと昇華させることだ。これはオリンピック本来の精神にもつながるものだ。

これまでにも、オリンピックのメダルに対しては様々なアイデアが用いられてきた。2016年のリオオリンピックではリサイクル材料を使用したメダルとリサイクルボトルから作られたリボンが用いられたほか、2020年の東京オリンピックでは、廃棄スマートフォンやコンピュータなどの電子廃棄物を使用してメダルを作成することが検討されている。

これらも環境への配慮やサステナビリティを重要なコンセプトに掲げる近年のオリンピックを象徴したユニークなアイデアではあるものの、メダルそのものを実際に分割し、大切な人とシェアできるというStarck氏のデザインは、これまでとは違った角度から今の世の中に必要な考え方を提示しているようにも思える。

デザインの斬新さもさることながら、今まで個人だけのものだと考えられがちだった「勝利の概念」さえも変化させる可能性があるこのメダルは、私たちに協力することや感謝することの大切さを思い出させてくれる。Starck氏が言う通り、勝利とは本来もっとコレクティブなものなのだ。来たるパリオリンピックで実際にこのメダルを受け取った人々がどのような人々とメダルを共有するのか、非常に楽しみだ。

【参照サイト】FRENCH BID COMMITTEE AND PHILIPPE STARCK PRESENTED THE PARIS 2024 OLYMPIC MEDAL; A MEDAL REALLY “MADE FOR SHARING”
【参照サイト】OLYMPIC MEDAL

(※写真:STARCK “OLYMPIC MEDAL“より)