スウェーデンに建設中の、農業とオフィスが共存した高層ビル「World Food Building」

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日本では少子高齢化が問題になって久しいが、世界全体で問題になっているのはむしろ人口爆発だ。世界人口は2050年には100億人に達し、その80%が都市に住むと予測されている。増え続ける人口を養うだけの膨大なエネルギーや食糧をどのように確保するか、そして人口が集中する都市の環境をどのように持続可能にしていくかは世界が直面する喫緊の課題となっている。その解決策として注目されているのが、農業とテクノロジーを掛け合わせた「Agritech(アグリテック)」の分野だ。

最近では高層ビルを活用して植物を栽培する垂直農法の取り組みが世界各地で進められているが、スウェーデン発のイノベーションは、これまでの取り組みとはスケールが違う。なんと全長60mという巨大な高層ビルの中で植物を育てるというのだ。オフィスのためのスペースもあり、都市と農業が融合した未来を提示している。

Plantagon

スウェーデンの企業Plantagonが同国の都市Linköpingに建設しているのは、都市農業の世界的なモデルケースとなる高層ビルだ。「World Food Building」と名付けられたビルでは、同社の特許技術を用いて実に年間500トンもの食料を生産できる。

Plantagon

このビルの優れている点は、農業エリアとオフィスエリアのエネルギー循環により、環境負荷の低い持続可能な農業とビル運営を両立させている点だ。農作物の生産に使用されるエネルギーの少なくとも50%はオフィスエリアの床下暖房として利用され、オフィスエリアで排出されるCO2は野菜の生産に利用される。そして植物が生み出す新鮮な酸素がオフィスに戻るという仕組みだ。この循環型システムにより、伝統的な農業に比べて毎年1000トンものCO2と5000万リットルの水を削減することができるという。

Plantagon

一般的なイメージとは裏腹に、伝統的な農業の仕組みは持続可能ではないという指摘がされている。農業セクターは2011年には60億トンもの温暖化ガスを排出しており、これは地球全体の排出量の実に13%に相当する。また、地球上の土地の38%が農業に用いられ、清潔な水の70%が農業によって消費されている。

増加し続ける世界人口を養いつつも、環境負荷を削減できる「持続可能な農業」が求められるなか、Plantagonの取り組みは画期的なものだ。都市農業では生産者と消費者の距離が近いため、運送コストもエネルギー消費も削減できる。また、最先端のテクノロジーで管理・栽培される農作物は衛生的にも望ましく、栄養価も高い。地球に優しい都市型農業のモデルケースとして、今後は世界中の都市に普及することが望まれる。

【参照サイト】WORLD FOOD BUILDING, SWEDEN
【参照サイト】Plantagon invites like-minded people to participate in the battle against the global food crisis. Say hello to the definition of inclusive capitalism!

(※写真:Plantagonより)