5月も半ばにさしかかり、日照時間が長くなる季節がやってきた。夏の到来に合わせる形で、グーグルはヨーロッパの中でも太陽光発電の普及が進んでいる環境先進国のドイツで、新たなプロジェクトを開始した。その名は「Project Sunroof(プロジェクト・サンルーフ)」だ。このプロジェクトは2015年に開始以降、アメリカではすでに全米で導入されているサービスだ。
Project Sunroofは、人々が自宅にソーラーパネルを設置するかどうかを検討する際に、自宅の屋根が充分な発電量を得られるかどうかを判断できる自動シミュレーションツールだ。グーグルが提供する地図サービス「グーグルマップ」の技術と、太陽の日射量に関する膨大なビッグデータを掛け合わせて作られており、ツールは無料で公開されている。
グーグルを代表する有名な人事制度の一つで、業務時間の20%を自身の好きなプロジェクトに当ててよいという「20%ルール」から生まれたプロジェクトとしても知られる。
ツールの使い方はいたって簡単だ。まずはProject Sunroofのウェブサイトで自宅の住所を入力する。すると、グーグルマップ上に年間日射量とその住所の屋根のどの部分に光がより当たるのかをサーモグラフィのように視覚化してくれる。
そして、その屋根にあった設置可能なソーラーパネルの面積や設置コスト、設置可能な業者の情報、さらにはソーラーパネルを設置することによってどれくらいのコスト削減になるのかという見積もりまで自動で算出してくれるのだ。また、この日射量に関するデータはグーグルが収集している衛星写真や気象データに基づいて表示されているため、日陰なども考慮された上での日射量情報になっている。
今回ドイツで始まったProject Sunroofは、ドイツの電力会社、E.onとのコラボレーションにより展開されている。現在ドイツにある住宅の40%以上が対象エリアとなっており、700万世帯が自宅をシミュレーション可能になっている。グーグル社はProject Sunroofの対象エリアを今後さらに拡大させ、世界中で利用されることを目指している。
このツールを利用することでより多くの人々がソーラーパネルを設置する魅力に気づき、導入が広まっていけば、世界のエネルギー供給はより環境に優しく持続可能なものになる。そして、多くの人々が太陽光発電により経済的な利益を手にすることになる。
グーグルは自身も再生可能エネルギーの利用に積極的に取り組んでおり、今年に入ってから、世界全体の事業運営の100%を再生可能エネルギーで賄うというコミットメントも公表している。このProject Sunroofも、そのグーグルのミッションに沿ったプロジェクトの一つだ。
自社の地理情報テクノロジーとビッグデータを上手く組み合わせることで、人々と環境、そして経済的にもメリットがある暮らしへの移行を支援するという、グーグルらしいソーシャルグッドなプロジェクト事例だと言える。
【参照サイト】Partnering with E.ON to bring Project Sunroof to Germany
【参照サイト】Project Sunroof
【参照サイト】E.on