あなたは、日々の何気ない消費行動がどのように社会問題と関連し、影響を及ぼしているのかについて考えたことがあるだろうか。私たちは社会がより良くなることを願っているにも関わらず、知らない間に人種差別や環境汚染に寄与している企業の製品を購入している可能性を否定できない。こうした矛盾を避けるためには、私たち消費者がもっと簡単に企業や製品のエシカル度に関する情報を手に入れることができる仕組みが必要だ。
サンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業が2017年5月にリリースしたアプリ「Nudge for Change」を使えば、私たちが消費者としての日々の選択をよりエシカルにすることが容易になる。
このアプリは米国トランプ大統領に危機感を覚えたことから開発されたもので、”Nudge(ナッジ)”とは「軽く突っつく」という意味を持つ。その名の通り、アプリを使用することで私たちの日々の消費行動を少しだけ良い方向へと転換することができる。
使い方は非常に簡単だ。まず、「トランプ政権」「環境」「女性平等」「労働者の権利」「人種平等」「LGBTQ平等」という6つのカテゴリーの中から、スワイプして自分の関心があるテーマを選ぶ。「Nudge for Change」は、データベース化された企業に対して、詳細なリサーチに基づくランキングシステムを用いてこの6カテゴリーにおけるエシカル度を0から10までの点数で評価し、そのスコアをユーザーに教えてくれる。スコアリングには厳密に審査された多様な情報源からのデータが使用されている。
企業データベースには食料品店やレストラン、服屋、薬局、電化製品店など米国内にある31万以上の小売業者の店舗が含まれており、順次拡大中だ。ユーザーは自身の関心のあるカテゴリーで点数の低い企業に近づくとアプリから警告を受け取ることができ、近隣の他のより良い企業を教えてもらえるという仕組みだ。
このアプリの良い点は、企業や製品に関する重要な情報を必要なときに提供してくれるため、消費者は自分自身で企業のリサーチに膨大な時間をかけずとも、簡単によりエシカルな選択をできるようになるという点だ。
企業のCSRレポートを読むなど、自分で意識的に調べない限り企業の社会的活動を知ることができない消費者にとって、このアプリの利用は時間の節約になるだけではなく、第三者の目を通した評価を知ることで客観的な物差しが増えることにもなる。
さらに、ユーザーが増えるほど既に社会や環境に対してエシカルな行動をとっている企業はより多くの顧客を獲得し、逆にそうではない企業は顧客を失うことになる。そして、「Nudge for Change」の最終目標は、社会を良くするためにビジネスを行うことを当たり前にすることだ。
小さく見える一人ひとりの消費行動も、このアプリを通して多くの人が日々エシカルな消費行動を積み重ねていくことで大きなインパクトとなれば、大きく見える企業、そして世界を、より良い方向へと”Nudge(ナッジ)”させることができるだろう。
【参照サイト】Nudge for Change
(※画像提供:Nudge for Change)