ファッションを環境問題のメディアに。洗った水の汚染度で色が変わるTシャツ

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今、世界では水質汚染問題が深刻化している。国連によれば、清潔な水を手に入れることができない人は未だに約6億6千万人もいるという。しかし、日本では清潔な水が手に入るのが当たり前で、身近な問題として捉えにくい。そのような普段実感する機会が少ない水質汚染という問題を、ファッションを通じて可視化する試みを手がけているファッションブランドがイギリスにある。彼らが作ったTシャツは、赤キャベツの性質を利用し、洗った水の汚染度によって色が変化する。

このTシャツは、イギリスのファッションブランドThe Unseenとライフスタイル会社The Lost Explorerとのコラボレーションから生まれた。気候変動に対する認識を高めるためのもので、世界環境デーと協働のキャンペーンの一部でもある。赤キャベツが持つ驚くべき力を使い、洗った水のpHレベルによってTシャツの色が変わる。キャベツは自然のpH指標であるだけでなく、毒性のある化学薬品を使用せず染色でき、地球にも優しい。

水のpHレベルは汚染度を示している。採鉱や精錬からの放射物や化石燃料の燃焼によって、水はより塩基性(アルカリ性)になる。洗剤や石けんから作られた製品を含む汚染水も同様だ。一般的に、水源のpH変動は大気、土、または直接的に水の中の汚染と関係する。私たちが海で泳ぐ時には直接人間に影響はないかもしれないが、海はますます酸性化し、微生物が大量に死に、海洋生物に劇的な影響を与えうるのだ。これは、大気中の二酸化炭素の増加とほぼ確実に関連している。

このTシャツを酸性水につけると、それぞれ濃度が高い順に、赤、ピンク、マゼンタ色に、アルカリ水につけると青、緑、黄色になる。元々の色は、手作りの赤キャベツ汁の染料を使用しているため、中性に近い深い紫色をしている。赤キャベツ汁に含まれ、pH指数としての役割を果たす水溶性の空砲の色素であるアントシアニンによって色の変化が可能になる。

The Unseenは、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの卒業生であるLauren Bowker氏によって設立された。このブランドはファッションと化学を結びつけ、「色の変化という原始的な言語を用いてデータを視覚化することで、複雑で目に見えない日々の問題に適用できるシンプルで目に見える解決策を生み出す」ことを専門としている。「本で学ぶよりも、実際に目に見ることでこの地球で何が起きているか深く理解できる」とBowker氏が言うように、この自然界から生まれた魔法のTシャツは、デザインを通して環境問題の存在を訴え認識を高めるのに、おしゃれなアイデアである。

一見、ファッションというと環境保護とは遠い業界のように思うかもしれない。しかし、規模の大小はあれ、ファッション業界およびイノベーティブなブランドは、服を通して環境問題に対する認識を高める方法を探しており、環境保護はより一層大事なトピックになりつつあるのだ。

このTシャツ自体が気候変動をストップさせるわけではない。しかし、大事なことは、The Lost Explorerの設立者であるDavid de Rothschild氏が言うように、「世界を変えるのは、製品ではなく、私たち一人ひとりの行動」である。つまり、Tシャツの色の変化を見て、感じ、行動に移すことである。それこそがこのTシャツの本当の狙いではないだろうか。

【参照サイト】The Unseen
【参照サイト】VIDEO: WE MADE A T-SHIRT THAT CAN READ POLLUTION IN THE WATER

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