近年、空港ではセキュリティが強化されており、荷物検査に時間がかかるため、混雑した国際空港ではフライトの3時間以上も前にチェックインすることも珍しくなくなった。
インターネットが普及した昨今では、Eチケットでオンラインチェックインを行い、時間を節約する旅行者もいるが、身体検査や持ち物検査ばかりはオンラインでするわけにはいかず、どのくらい時間がかかるか見当がつかない。だからといってフライトに乗り遅れるわけにもいかず、結果としてかなり時間の余裕をもって空港に来るのが搭乗者の心理だ。そして、あまりにも順調にことが進むと、いつも通りに時間を持て余すことになる。
ドイツのスタートアップWaitListが開発したのは、そんな空港での余った時間を有効活用できるユニークなアプリだ。
WaitListは、チェックイン時の暇を持て余す見知らぬ人々が会って、共に時を過ごすという斬新なアイデアだ。バーチャル名刺を作り、興味や関心をアプリに掲示することで、同じ状況の人々が連絡を取り合い、コーヒーを飲むなりしてフライトまでの時間を有意義に過ごすことができる。時間に追われるビジネスマンがこの経済活動の空白ともいえる時間を商談やコネクションづくりに活かし、生産性を高めることも想定している。WaitListのアプリは現在ベータ版だ。
搭乗時間ぎりぎりに到着して飛行機に乗りそびれるよりは待ち時間があったほうがずっとよいが、そんな旅行者たちのフライト待ち時間は平均で1時間だという。その1時間を利用して起こる一期一会は、最も退屈な時間を最もエキサイティングに変えるインパクトがある。たまたま同時に空港にいた人々の交流により事業に思いもよらなかった発想や化学反応をもたらす可能性もある。
空港の免税店もビジネスの発想は似ており、帰国したら使途のない外貨とチェックイン後の待ち時間という余ったものを源泉としている。時間や物事に合理的で、無駄や非効率を減らすというのはいかにもドイツ的な発想だが、ぜひ使ってみたいサービスだ。